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J2 2026.10.23 11:46

「チームの良い薬になれている」37歳、宮澤裕樹が北海道コンサドーレ札幌で示す存在価値。「もう一度J1で戦いたい」【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images

北海道コンサドーレ札幌 宮澤裕樹 26年10月17日 ブラウブリッツ秋田戦より

北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹【写真:Getty Images】



 今季ここまでリーグ戦12試合中11試合に出場し、北海道コンサドーレ札幌で改めて存在感を示しているのが、宮澤裕樹だ。チーム浮上へ向けて勝利が不可欠だった第12節のモンテディオ山形戦でも、鮮やかなパスで荒野拓馬の追加点を演出した。37歳になっても、その輝きは色あせず、むしろ渋みを増している。札幌一筋19年のバンディエラが見据えるのは、もう一度J1の舞台で戦うことだ。(取材・文:黒川広人)[2/2ページ]

【2026/27明治安田J2リーグ第12節】
2026年10月21日 モンテディオ山形 0-2 北海道コンサドーレ札幌
(NDソフトスタジアム山形)

現主将・西野奨太の意識を変えた一言「サッカーはボールを持っている人が…」

北海道コンサドーレ札幌 西野奨太 26年10月17日 ブラウブリッツ秋田戦より

今季よりキャプテンを務める22歳の西野奨太【写真:Getty Images】


「外からの声は、受け入れるしかないです。自分たちは内容や結果を見て判断される立場ですから、結果が出ない現状は素直に受け入れていました。ただ、自分たちが継続してやっていることを、すべて変えてしまうのではなく、何が足りないのかを見つめ、何を継続していくべきなのか。その部分はブレずにやってきました。

 監督もそれをチームに提示してくれていたので。そういう意味では、自分たちの芯になる部分をしっかり持って、この苦しい状況を乗り越えたときに、チームは大きく飛躍できるんじゃないかなと思います」

 現キャプテンの西野奨太も、信頼を寄せる宮澤と何度も言葉を交わしながら、チーム浮上への糸口を探ってきた。

「今のチームに足りないのは何なのか、(宮澤)裕樹さんとすごく話しました。裕樹さんも、練習中にできていない選手がいたら、声を張り上げて伝えてくれました。それを見て、自分ももっとやろうと思いましたし、どこを直したら、チームが良くなるのかというところは、本当に2人で話し合いました」

 そんな宮澤との対話の中で、西野には特に心に響いた言葉があったという。

「自分が特にハッとさせられたのは、誰かがボールを蹴ったときに、『なんで蹴るんだよ!』という声が上がった場面です。その時、裕樹さんから『ボールを持っている人の判断を尊重して、周りが次のポジションを取らないといけない』と言われたんです。『そうだよな』って。サッカーはボールを持っている人が判断することであって、その判断を尊重するために、チーム全体としてサポートが必要だと。

『ボールホルダーに選択肢を与えるポジションを取って、その人の判断を正解にしてあげる動きをもっとしよう』って、裕樹さんに言われて、すごくハッとしました。そこから自分も意識していますし、宮崎戦のときのような停滞感は抜けて、少しずつ良くなってきていると思います」

 伝える言葉の一つひとつには、長年このクラブで戦い、勝利も苦境も経験してきた宮澤だからこその重みがある。2016年のJ1昇格時も、キャプテンとしてチームを牽引した宮澤。当時の札幌は、リーグで2番目に少ない失点数を記録するなど、安定した守備が強さの基盤となっていた。

 そして今、直近4試合の失点数はわずか2。守備面に改善の兆しが見えてきたことは、ポジティブな材料だ。

「もう一度J1で戦いたい」。37歳のバンディエラが見据える未来

北海道コンサドーレ札幌 宮澤裕樹 26年10月4日 いわきFC戦より

北海道コンサドーレ札幌一筋19年。誰もが認める札幌の絶対的なバンディエラだ【写真:Getty Images】


「ギリギリのところで守れてきているというのは、トレーニングを継続してやっている効果ですし、できていない試合のときも、そこは継続してやってきているので。ピッチで結果につながってきているのは、自信になると思います。

 J2を勝ち抜くための方法は守備を安定させながら、いかに得点を取っていくか。もしくは、それをも凌駕する圧倒的な得点力を持つかのどちらかだと思います。自分たちは圧倒的な得点力を持つにはまだまだだと思いますし、そういった意味では守備の安定は欠かせないですからね」

 苦しい状況から抜け出す兆しは、少しずつ見え始めている。そして、宮澤自身も、もう一花咲かせるつもりだ。札幌を愛し、札幌に愛されてきた宮澤には、どうしても果たしたい使命がある。

「もう一度J1に戻ること。それがすべてだと思います。僕のサッカー人生もそう長くないですから。コンサドーレをJ1に戻して、もう一度J1で戦いたいです。そこに尽きます。

 そして、自分もそうであったように、若い選手が『このチームでプレーしたい』、『このチームが好きだ』と思えるようなクラブにしていきたい。苦しい時期も良い時代も経験し、クラブへの思いを持っている僕らが、もっと強いクラブにしていかなければいけないという思いがあります」

 もちろん、37歳になった今も、一人のプレーヤーとして、若い選手に簡単に道を譲るつもりはない。

「未来につなげていくことは求められていますけど、僕も一人のサッカープレーヤーなので。やはり試合で活躍したいですし、このチームを勝たせたいです。そこは変わらず、一人のプレーヤーとして、若い選手に任せるんじゃなくて、自分も戦いたいと思います。

 チームも少しずつ自信がついてきていると思います。この連勝を続けていくことで明確な手応えが生まれてくると思います。僕自身、先を見ることはあまり好きではないので、まずは次の富山戦に向けて、良い準備をしたいと思います」

 次節は、現在3位と好調なカターレ富山とのアウェイでの一戦。少しずつ芽生えてきた自信を、確かな手応えに変えられるか。頼れる背番号10が、これからも赤黒を牽引する。

(取材・文:黒川広人)

【著者プロフィール:黒川広人】
北海道出身。大学卒業後、フジテレビで番組制作を担当。2018年よりDAZNにてJリーグ関連の番組制作に携わる。2022年からは株式会社dscに所属し、Jリーグ、Jクラブ、WEリーグをはじめとする各種スポーツ団体の映像ディレクション業務を担当。また、地元・北海道を中心に学生年代の取材活動も精力的に行う。

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【了】

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