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Jリーグ 2026.10.23 11:45

J1観客動員は過去最高ペース。国立開催7試合で全体の約16%…新スタジアムとクラブ別動員から考える「リーグの成長」【コラム】

MUFGスタジアム(国立競技場)
MUFGスタジアム(国立競技場)の様子【写真:Getty Images】



 満員のスタンドに胸が高鳴る日もあれば、空席の多さが気になる試合もある。2026/27シーズンのJ1リーグは過去最高の年間平均を上回るペースで進んでいるが、その勢いは最後まで続くのか。Jリーグ公式データサイトの直近5シーズンの記録を基に、人気クラブの成績、大規模会場、新スタジアム、秋春制への移行という4つの論点から考える。※2026/27シーズンの動員記録は第10節終了時点のもの(文:川﨑ゆうき)[2/2ページ]

新スタジアムが生む熱狂と、満員の先の「壁」

エディオンピースウイング広島
エディオンピースウイング広島で戦うサンフレッチェ広島の選手たち【写真:Getty Images】



 座席からピッチが近い。試合前後も楽しめる。スタジアムで過ごす時間そのものが魅力になれば、勝敗とは別に「また来たい」と思う人は増えるかもしれない。その可能性を数字で示すのが、広島とV・ファーレン長崎だ。

 広島は2024年にエディオンピースウイング広島を開業し、J1のホーム平均が前年の1万6128人から2万5609人へ約59%増えた。翌2025年も2万5585人と高水準を維持。新スタジアム開業時の熱気が、翌年も続いたことになる。

 長崎は2024年途中に新スタジアム「PEACE STADIUM Connected by SoftBank(ピースタ) 」へ移り、旧会場での16試合平均8098人に対して新会場3試合の平均は1万8964人だった。2025年にはJ2で1万5877人を集め、今季のJ1昇格後は第10節までで1万9412人に達している。

 興味深いのは、J1昇格だけが観客動員を増やす要因ではないということだ。長崎はJ2在籍中に新スタジアムの効果で大きく動員を伸ばした。

 一方で、J1へ昇格しても集客が急増するとは限らない。ジェフユナイテッド千葉は2025年のJ2平均が1万5549人だったのに対し、今季J1では1万3384人。前年には国立開催の約5万人が含まれているが、その試合を除いた2025年の平均は約1万3636人で、今季とほぼ同水準だ。

 集客に勢いがあっても、座席には限りがある。ファジアーノ岡山は2024年のJ2で平均9188人、2025年のJ1昇格後は1万4587人に増加したが、今季序盤は1万4592人とほぼ横ばい。ただし、これは観戦需要が頭打ちになったことを意味しない。

 クラブ公式によれば、2024年のJ1昇格プレーオフから今季第10節の神戸戦まで35試合連続でホームエリアのチケットが完売している。Jリーグ公式サイトに掲載されたスタジアムの入場可能数は1万5479人。さらなる集客を目指すうえで、収容人数が制約になっていることがうかがえる。

 集客力を高める施策だけでなく、増えた観客を受け入れる環境の整備も、リーグの成長には欠かせない。

秋春制の初年度、熱気は春まで続くのか

J1リーグ第8節・FC東京対名古屋グランパス
J1リーグ第8節・FC東京対名古屋グランパスの様子【写真:Getty Images】


 いつ遠征できるか、子どもを連れて行きやすいか、キックオフの時間に間に合うか。サポーターにとって試合日程は生活と直結する。

 今季は従来の2月開幕から8月開幕へ変わり、12月19日まで試合を行い、ウインターブレークを挟んで2027年2月13日に再開。最終節は6月6日に迎える。

 冬季中断が設けられていても、12月と2月の寒さが消えるわけではない。降雪地域の開催配分、真夏の夜の試合、平日開催、帰宅時間など、観戦のハードルは土地ごとに異なる。特にアウェイ遠征では、寒さだけでなく交通機関の運行や宿泊費、移動距離なども負担になる。

 今季の開幕節は10試合で30万4292人(1節あたりの過去最多)という記録的な入りだったが、第9、10節の平均はそれぞれ1万8000人前後。開幕の勢いがそのまま続くとは限らない。これまでと同じ曜日、同じ時間帯で試合が組まれるわけでもなく、過去の観客動員の傾向が通用するかは未知数だ。

 一方、優勝や残留を争う山場が5~6月に移ることは、観戦しやすい季節に注目度の高い試合を迎えられるという追い風にもなり得る。タイトル争いが白熱すれば、それまでスタジアムに足を運んでいなかった人が来場するきっかけにもなるだろう。

 2025年の年間総入場者数807万3557人は、J1の過去最多記録だ。今季は第10節までの平均を維持すれば、この記録を上回る計算になる。ただし、開幕時の熱気を冬から春へとつなげられるかは未知数だ。

 人気クラブが苦しむときも、国立での大規模開催がないときも、そして寒い日や平日の試合でも、地元のスタジアムに人が集まるか。

 サポーターが普段見つめているそれぞれのスタンドの光景こそ、過去最高ペースの先にあるJリーグの実力を映し出す。

(文:川﨑ゆうき)

【著者プロフィール:川﨑ゆうき】
都内のラジオ局で番組制作に従事した後、ライターへ転身した。イギリス系音楽メディアのチーフ・エディターを歴任し、現在は様々な媒体に寄稿する。ロシア語能力検定と審判ライセンスは3級。

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