
柏レイソル 山内日向汰【写真:Getty Images】
3日前は前半のみでピッチを退いた。しかし、次に迎えた鹿島アントラーズとの上位対決では、2度ネットを揺らして勝利の立役者となった。10月24日、柏レイソルは鹿島に3-2で逆転勝利し、敵地で約6年ぶりの白星を挙げた。前節で得た気づきをプレーに生かし、限られた出場時間で結果を残した山内日向汰。激しいポジション争いの中で示した覚悟とは対照的に、試合後の囲み取材では、サポーターに向けた愛嬌たっぷりの「お願い」が飛び出した。(取材・文:高橋大地)[1/2ページ]
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【2026/27 明治安田J1リーグ 第12節】
2026年10月24日 鹿島アントラーズ 2-3 柏レイソル
(メルカリスタジアム)
2-3の記憶。勝ち点1差で終わった昨季の分岐点

鹿島アントラーズ戦2ゴールを決めた柏レイソル・山内日向汰【写真:Getty Images】
0-2から2-2まで追いついた。逆転できるはずだった。それくらい柏レイソルが相手を押し込んでいた。
実際、82分にはPKを獲得し、勝ち越しの絶好機を迎えている。しかし84分、キッカーを務めた小屋松知哉のシュートは枠を外れた。
そして後半アディショナルタイム。自陣でのビルドアップのミスを突かれ、松村優太に決勝ゴールを奪われた。最終スコアは2-3。ホームの鹿島アントラーズが勝ち点3を手にした。
2025年7月20日、J1リーグ第24節の話だ。
この年、鹿島は勝ち点76で優勝し、柏は勝ち点75で2位に終わった。その差は、わずか勝ち点1だった。
もし、あの日の試合で柏が勝っていたら、2025年の優勝チームも変わっていたかもしれない。
それほど印象深く、タイトル争いのターニングポイントとなった一戦だった。
あれから約1年3カ月。2026年10月24日、柏は再び鹿島の敵地に乗り込んだ。そして今度は、3-2で勝利を収めた。昨年と同じスコアを、今度は自分たちのものにしたのである。
その勝利の立役者となったのが、当時の柏にはいなかった山内日向汰である。
ただ、柏を取り巻く状況は決して楽ではなかった。リーグ戦、カップ戦、アジアの舞台を並行して戦い、25日間で公式戦8試合を戦う過密日程。21日のFC東京戦からは中2日で、選手の疲労が蓄積するだけでなく、練習場で課題を修正する時間も限られていた。
FC東京戦で山内は右シャドーとして先発したが、前半終了とともに交代している。
リカルド・ロドリゲス監督は「山内日向汰も良いプレーをしてくれていました。ただ、疲労も見受けられた」と、その理由を説明していた。
チームとしても前線の守備に課題があった。FC東京の左センターバック・稲村隼翔らから縦パスを繰り返し通され、柏は後手に回った。指揮官も「FC東京の2センターバックからのくさびのパスを容易に刺されてしまっていた」と振り返っている。
もちろん、山内一人の問題ではない。それでも、前線からどのように相手のパスコースを制限するかは、チームとして修正すべき点の一つだった。
そうした状況で迎えた鹿島戦。山内は再び先発のピッチに立った。
前節の経験が生きたワンフェイク。守備からも生まれたゴール

柏レイソル・山内日向汰 鹿島戦の1点目のゴールシーン【写真:Getty Images】
鹿島戦は、立ち上がりから苦しい展開となった。鹿島の2ボランチ、特に柴崎岳が立ち位置を変えながらさまざまな場所でボールを受け、柏はその可変するシステムに対応できなかった。
ほとんど何もできないまま迎えた14分。左サイドからのクロスを徳田誉に決められ、先制を許した。
山内も試合後、前半の課題を認めている。
「連戦もあり、そこでうまく練習時間を確保できてないということはすごくチームとしても感じるところではある。プレス回避だったり、そういったところで課題が出た前半だったかなと思う」
それでも35分、遠藤渓太のシュートが相手DFに当たってゴールに入り、柏が追いつく。そして前半アディショナルタイム、山内が試合をひっくり返した。
左サイドのポケットへ走り込み、遠藤のパスを受ける。対峙した植田直通の前でワンフェイクを入れて間合いを外すと、右足を振り抜いた。ファーサイドのネットを射抜く、美しいゴールだった。
「1点目はうまくポケットを取れて、そこから落ち着いてワンテンポずらしてゴールを決められた」
そのワンフェイクには、3日前の経験が生かされていたという。
「この間のFC東京戦では、(アレクサンダー)ショルツ選手にうまくカットインを対応されたので、ワンフェイクを入れれば届かない位置に行くんじゃないかと思って」
59分の2点目は、前線からの守備が起点となった。
山内は中央のパスコースを切りながら相手にプレスをかけ、ボール奪取につなげる。中川敦瑛からパスを受けると、相手をかわしきる前に左足でシュート。GK早川友基が捕球しきれず、ボールはゴールに吸い込まれた。
「2点目に関しては、うまく前線の守備対応で中を切りながらプレスをかけられて、そこからうまくコントロールして打つことができた。コースは甘かったですが」
1点目では相手DFとの駆け引きで違いを生み、2点目では守備からゴールを奪った。攻守の異なる場面で、山内は自らの価値を示していた。