
横浜F・マリノスの松村晃助【写真:Getty Images】
横浜F・マリノスは11月1日、2026/27明治安田J1リーグ第13節で川崎フロンターレと対戦し、4-2で勝利した。8連戦の最後を白星で締めくくり、公式戦13試合、リーグ戦9試合無敗としたチームで、存在感を放っているのがMF松村晃助だ。法政大学に在籍する22歳は、ボランチとして攻守に奔走し、今季5アシスト目を記録。それでも本人は「まだまだ」と繰り返す。背番号41が見据えるものとは――。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]
【2026/27 明治安田J1リーグ第13節】
2026年11月1日 横浜F・マリノス 4-2 川崎フロンターレ
(日産スタジアム)
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勝ちきれなかった日々を経て。8連戦の最後につかんだ白星

川崎フロンターレ戦で5試合ぶりの白星を挙げた横浜F・マリノス【写真:Getty Images】
「負けてはないけど、勝ててないっていう。なんていうか、もどかしい時期はすごい自分たちとしてもありましたけど、そこでも本当に誰一人下を向かずに、チーム一丸となって戦えたので、きょうの勝利はすごい意味のある大きいものかなと思います」
横浜F・マリノスは10月、公式戦で負けなしを維持しながらも、リーグ戦では4戦連続引き分けが続いていた。それだけに、8連戦の最後でつかんだ勝ち点3は大きく、上位争いに食らいつくためにも、この勝利がもたらすものはとても意味のあるものだったに違いない。
10月28日のYBCルヴァンカップ1stラウンド4回戦、サンフレッチェ広島戦から中3日。スティーブ・コリカ監督はGK飯倉大樹を除く先発10人を入れ替えた。主力を比較的フレッシュな状態で送り出せたことに加え、広島戦で出場機会の少なかった選手たちが見せた躍動も、チーム内の競争を刺激したはずだ。
この一戦で、松村晃助は攻守にわたって90分間走り続けた。走行距離12.094kmは両チーム最多。豊富な運動量に加え、正確な右足でも勝利に貢献した。
12分、右コーナーキックから松村が精度の高いボールを送り込む。相手DFがクリアしたこぼれ球を遠野大弥が右足で仕留め、マリノスが先制した。
さらに、3-1で迎えた56分。再び右コーナーキックのキッカーを務めた松村は、ゴール前へ鋭いボールを供給する。ジェイソン・キニョーネスが頭で合わせ、リードを3点に広げた。
今季5アシスト目。チーム最多の数字を積み重ねた松村は、狙い通りのキックだったと振り返る。
「練習から狙うポイントは、セットプレーの練習からあったので、そこに届けるのは意識していて、それをうまくジェイソンが決めてくれたので、アシストをつけてくれて、感謝です」
77分には直接フリーキックでゴールを狙った。右足から放たれたボールは、鋭い軌道を描いて右ポストを直撃。得点には至らなかったものの、そのキックの質の高さを改めて印象づけた。
しかし、本人の評価は厳しい。
5アシストでも満足せず。「決めなきゃ意味ないんで」

チームの先制ゴールを決めた横浜F・マリノスの遠野大弥と攻守にわたりハードワークした松村晃助【写真:Getty Images】
「アシストの部分で数字がついているのは、すごい嬉しいことですけど、自分自身もっともっとゴールにかかわる部分、それ以外のプレーでも、もっともっとできると思っているので、そこはこの結果に満足せずに、もっとやっていきたいなと思います」
セットプレーについても、「きょう何回か自分の狙いとは違うところに行ってしまったキックもある」と反省を口にする。
「本当にセットプレーが武器って言えるように、自分自身もっともっと精度の部分を上げて、得点の回数を増やしていければいいかなと思います」
5アシストという結果や、直接FKでポストを叩いたことを踏まえ、すでに十分な武器ではないかと問われても、答えは変わらなかった。
「まあ、でも決めなきゃ意味ないんで。そこは決めれるように頑張ります」
その言葉の端々からは、現状に満足する様子は、まったく見えないが、松村の貢献は、攻撃面にとどまらない。
この日のマリノスは、前半から強度の高いハイプレスで川崎のビルドアップを制限した。
前線では谷村海那がパスコースを限定し、遠野が相手を追い込む。そこに松村と山根陸のダブルボランチが連動し、橘田健人や山本悠樹にボールが渡る場面では、強く寄せてボールを奪うことを狙っていた。相手の中盤がポジションを変えれば、マークを受け渡しながらスペースを埋める。高い位置でボールを奪い、ショートカウンターへとつなげる場面が何度も生まれた。
「相手の中盤の3人の選手はすごい技術も高くて、すごく良い選手というのはもう前々からわかっていた。自分のところは特に脇坂(泰斗)選手のところをフリーにさせないことを意識しながら、相手のボランチのところに出るタイミングでは勢いを持ってしっかりと潰せるようには意識して、山根選手ともコミュニケーションを取りながらやってたので」
松村はそう説明したうえで、守備の強度や相手に寄せるタイミングには改善の余地があると続けた。
川崎の中盤を封じた連動した守備。山根陸との特別な関係

チーム4点目を決めたジェイソン・キニョーネスを祝福する山根陸と松村晃助【写真:Getty Images】
川崎の中盤は流動的に立ち位置を変える。特定の選手を追い続ければ、背後にスペースが生まれる。だからこそ、松村は相手選手とスペースの両方を見ながら、山根と声をかけ合っていた。
「基本的に前線の選手たちがすごい守備の部分で頑張ってくれるので、そこにしっかりとついていくところと、コースを限定させたところで、自分たちがしっかりとふたをして、前進させない部分は、前線の選手たちともコミュニケーションをとってました。
そこで前線の選手が行ってくれたのを無駄にしないように、しっかりと自分たち、もっともっと潰せたら良かったですけど、最低限はできたかなと思います」
その山根とは、小学3年生でマリノスのアカデミーに加入して以来の付き合いだ。2023年にはともにU-20日本代表として世界の舞台も経験している。
「山根選手は自分が小学校3年生でマリノスに入ったときからずっと一緒にやっている選手なので、ある程度やりたいプレーだったり、お互いに意思疎通の部分ではすごい理解できるというか、もう本当にしゃべらなくても合うような感覚は持ってます」
長年培った関係性は、ピッチ上での連係にも活きている。
ただ、松村は山根のプレーを高く評価する一方で、やはり自分自身には厳しい目を向けた。
「自分たちの持ち味は技術的な部分なので、きょう山根選手のプレーが自分にとっても刺激になるようなレベルのものでしたし、逆に自分のプレーは、オープンプレーはまだまだ自分としては納得いくような出来ではなかったので、そういった部分で自分も負けないように練習からやっていきたいなと思います」
今季から松村のプレーを見た人たちは、ボランチとしての印象が強いかもしれない。だが、松村のキャリアを振り返れば、ボランチは決して主戦場ではなかった。