フットボールチャンネル

J1 13時間前

「自分は左ワイドが一番やりやすい」。7か月の離脱を経て復帰した小屋松知哉、名古屋グランパスで模索する“立ち位置”【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images

名古屋グランパス 小屋松知哉

名古屋グランパスの小屋松知哉【写真:Getty Images】



 9月19日のFC東京戦、名古屋グランパスは1点を追う展開のなか、79分に小屋松知哉をピッチへ送り出した。約7か月の離脱を経て、8月末に公式戦復帰を果たしたばかりの31歳は、マテウス・カストロとの2トップで反撃を託された。左ワイドを本職とする小屋松にとって、決して慣れ親しんだ役割ではない。それでも、いまの名古屋で生き残るために、さまざまなポジションで自らの価値を示していく必要がある。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ] 

【2026/27明治安田J1リーグ第8節】
2026年9月19日 FC東京 1-0 名古屋グランパス
(MUFGスタジアム)

JリーグはDAZNで全試合ライブ配信!
月額最安値で視聴するならDMM×DAZNホーダイ[PR]

「点を取りに行く姿勢」を掲げる名古屋、攻撃に漂う停滞感

26年9月19日 FC東京対名古屋グランパスより 稲垣祥

名古屋グランパスのキャプテン、稲垣祥【写真:三原充史】


 2026年頭からJリーグ最年長の大ベテラン、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任し、攻撃スタイルへの転換が本格的に始まった名古屋グランパス。

 J1百年構想リーグではWEST3位、最終順位6位とまずまずの結果を残していただけに、26/27シーズンへの期待値が高かった。

 ところが、ふたを開けてみると、第7節終了時点で2勝5敗の勝ち点6で16位に沈んでいた。9月突入後のサンフレッチェ広島、FC町田セルビア、V・ファーレン長崎戦は3連敗で、この3戦の得点は町田戦のオウンゴール1点のみだ。

「ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)のサッカーなんで、点を取りに行くところの姿勢は絶対に崩しちゃいけない」とキャプテン・稲垣祥も語気を強めていたが、肝心の攻撃のところがうまくいっていないのが、この苦境の最大要因と言っていい。

 そこで、9月19日の第8節・FC東京戦では、山岸祐也と木村勇大の2枚看板を最前線に配置し、その背後に内田宅哉を据えるという工夫を凝らして試合をスタートさせた。

 26分には、木村のヘッドが右ポストを直撃。43分には、山岸が決定機を迎えるなど、惜しいチャンスは確かに作ったが、ゴールをこじ開けられずに0-0で前半を折り返した。

 迎えた後半。名古屋はさらに攻め切ろうという姿勢を押し出したが、56分に原輝綺のシュートの跳ね返りから、俵積田晃太にロングカウンターを食らい、そのまま1点を決められてしまう。主導権を握っていたかに見えた中での失点だけに痛かった。

 その後、68分にFC東京の高宇洋が退場。名古屋は11対10の数的優位になった。ペトロヴィッチ監督はその前に山岸と代えて投入していたマテウス・カストロに続き、森島司、甲田英將と持ち駒を次々と起用した。

 79分には木村に代えて小屋松知哉を送り出し、マテウスと2トップで並べて勝負を賭けた。

7か月の離脱を乗り越え、小屋松知哉が踏み出した復活への一歩

名古屋グランパス 小屋松知哉

小屋松知哉は、9月2日のサンフレッチェ広島戦で今季リーグ戦初出場を果たした【写真:Getty Images】


「知哉は7か月ほど休み、ようやく帰ってきてくれたところ。彼は狭いエリアでいろんなことができます。例えば、マテウスとワンツーで潜っていったり、アイデアを持っていて、決定的な仕事ができる選手。そういう意図で彼をあのポジションで起用しました」とペトロヴィッチ監督は狙いを明かす。

 今年頭に柏レイソルから10年ぶりに古巣・名古屋に復帰した小屋松は、1月下旬に右ひざ内側半月板断裂の重傷を負い、いきなりの長期離脱を強いられてしまった。

 昨年の柏で彼が左ウイングバック(WB)として異彩を放ったのは周知の事実。柏は小屋松が移籍した後、左WBの最適解に苦しみ、今夏に遠藤渓太と弓場堅真が加入するまでは模索を続けていた。

 それだけの人材の移籍ということで、驚きは大きかったが、名古屋での期待値は非常に高かった。その矢先の離脱ということで、本人のダメージは想像を絶するほど大きかったに違いない。

 長いリハビリを経て、公式戦復帰を果たしたのが、8月26日の天皇杯2回戦・ガイナーレ鳥取戦だった。この試合では左WBでスタメン出場し、ようやく復活への一歩を踏み出すことができた。

 その後、広島、町田、長崎戦で途中出場したが、ポジションはシャドーがメイン。長崎戦は鳥取戦同様、左WBで出たものの、今は柏時代のように左ワイド固定というわけではない。そこには彼自身、多少なりとも戸惑いがあるようだ。

「今は与えられた役割をこなしていく必要がある」

名古屋グランパス 小屋松知哉 藤井陽也

FC町田ゼルビア戦後に藤井陽也と話をする小屋松知哉【写真:Getty Images】


「やっぱり自分は左ワイドが一番やりやすい。今までやってきたこともありますし、自分の強みが一番出るとは思っています。でも、名古屋にはこれまで積み上げてきたものがある。百年構想リーグで基盤となっていた選手たちがいますし、その半年間もある程度、良かったから、彼らとしっかり競争しないといけない。今は与えられた役割をこなしていく必要があると思っています」と小屋松は難しさを抱えながら、精一杯、取り組んでいる様子だ。

 実際、名古屋の左WBには中山克広という確固たる地位を築いている存在がいる。百年構想リーグで機能した分、ペトロヴィッチ監督の彼に対する信頼度は非常に高い。

 加えて、FC東京戦で3バックの左に入った徳元悠平も左WBができるし、マルチ型の和泉竜司もこのポジションをこなせる。となれば、やはり小屋松は左WBを視野に入れつつ、多彩な役割で爪痕を残さなければいけない。今回の2トップの一角でのプレーは良いチャンスだったとも言える。

「2トップではマテ(マテウス)との距離をもう少し意識したかったんですけど、うまく関係性を作れなかったというのが反省しないといけないところですね。あとは、そこにどうやってボールを入れてもらうかというイメージを持ってやらなきゃいけなかったと思います」と背番号58をつける男は反省点を口にした。

 小屋松のシュート数はゼロ。プレー時間も短かったが、マテウスとの関係性もギクシャクとした感じが見て取れた。まだまだ改善の余地は少なくないようだ。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top