フットボールチャンネル

J2 2026.10.27 18:00

「J1でプレーしたい気持ちもあった」それでもJ2のアルビレックス新潟へ。関口正大が故郷を選んだ理由「ここが特別なクラブ」【コラム】

アルビレックス新潟 関口正大 26年10月25日ベガルタ仙台戦より

アルビレックス新潟の関口正大【写真:Getty Images】



 故郷のクラブをJ1へ――。その思いを込めた一撃だった。アルビレックス新潟は10月25日、2026/27明治安田J2リーグ第13節で首位のベガルタ仙台を2-1で撃破した。決勝ゴールを決めたのは、今季途中にV・ファーレン長崎から加入した関口正大。今季、念願のJ1デビューを果たした右サイドバックは、なぜJ2の新潟への移籍を決断したのか。幼い頃から憧れたクラブでプレーする喜びと、J1復帰に懸ける思いに迫る。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

【2026/27明治安田J2リーグ第13節】
2026年10月25日 アルビレックス新潟 2-1 ベガルタ仙台
(デンカビッグスワンスタジアム)

JリーグはDAZNで全試合ライブ配信!
月額最安値で視聴するならDMM×DAZNホーダイ[PR]



首位・仙台との大一番。決勝ゴールに込めた特別な思い

アルビレックス新潟移籍後初ゴールを決めた関口正大 (26年10月25日ベガルタ仙台戦)

アルビレックス新潟移籍後初ゴールを決めた関口正大はサポーターのもとへ駆け出した【写真:Getty Images】


 ありったけの思いをファン・サポーターの前で立て続けに演じたゴールパフォーマンスに込めた。

 チームカラーのオレンジとブルーで染まったゴール裏へ向かい、まず背中の「30番」を両手の親指で指す。次にユニフォームの左胸のチームエンブレムを右手で力強く握りしめ、そして熱いキスをかわした。

 新天地・アルビレックス新潟で出場7試合目にして決めた初ゴール。関口正大は至福の瞬間にいた。

「ゴールそのものは常にうれしいですし、さらにここで決められたところ、仙台を相手に決められたところ、チームの大事な試合で決められたところで自分をまず褒めてあげたい、という気持ちがありました」

 関口が言う「ここ」とは新潟のホーム、デンカビッグスワンスタジアム。J2戦線で首位に立つベガルタ仙台を、勝ち点4差の2位で追う新潟が迎えた10月25日の大一番。1-1で迎えた55分だった。

 仙台のMF武田英寿がインスイングから放った右コーナーキックを新潟の守備陣がはね返す。クリアはペナルティーエリア右側の後方にポジションを取っていた仙台のFW岩渕弘人のもとへ飛んだ。

 そして、胸トラップでボールを収めた岩渕が、次のプレーに移ろうとした刹那だった。

 ボールの落ち際に狙いを定めていた新潟のFW若月大和が、瞬く間に岩渕との間合いを詰める。さらに、右足を突っかけてボールを奪うやいなや、自陣のゴール前から乾坤一擲のロングカウンターを発動させた。

 ボールを奪われた責任感を込めて、岩渕が全力で若月を追走する。さらに、後方にポジションを取っていたボランチの奥山政幸、左ウイングバックの石井隼太が新潟の逆襲に合わせて自軍のゴール前へ戻る。

 しかし、数的優位を作ったのは新潟だった。FWマテウス・モラエス、41分に同点ゴールを決めていたMFシマブク・カズヨシに加えて、自軍のボックス内にいた右サイドバックの関口も一気に駆けあがっていく。

「船越(優蔵)監督やコーチ陣から『前に、前に』という姿勢は常に求められていますし、自分のなかでもそれがなくなったら終わりだと思っているので。いまはそれがスタンダードになっている感じがあります」

 ボックス・トゥ・ボックスを全力で駆けあがった先に、関口はゴールへのイメージを膨らませていた。

「気持ちで取ったゴール」劇的な一撃の舞台裏

アルビレックス新潟移籍後初ゴールを決めた関口正大 (26年10月25日ベガルタ仙台戦)

ベガルタ仙台との上位対決で決勝点を奪ったアルビレックス新潟の関口正大【写真:Getty Images】


「大和はめちゃくちゃ足が速いので、絶対に逆サイドへクロスをあげてくれると思ってついていきました。でも、僕の後ろから仙台の選手がものすごいスピードで戻ってきたなかで『やばい、追い抜かれる』と思って」

 関口を驚かせたのは猛スピードで帰陣していった仙台のDFマテウス・モラエス。瞬く間に追い抜かれ、数的不利を解消させた仙台の守備を前にして、関口はシュートを放つまでの設計図に駆け引きを加えた。

「なので、ちょっとマイナスの位置で(クロスを)待とう、と。そこに至るまでに僕の前でシマブク選手が相手をニアへつって下げてくれて、そのおかげでマイナスのところが開いて良いポジションを取れたので。

 でも、シュートそのものは思いのほか足にうまく当たらなくて。本当にボールがどこを転がっていったのかはまだ映像を見ていないのでよくわからないんですけど…。どこを抜けたのかわかりますか」

 試合後の取材エリアで報道陣へ逆取材した関口は、利き足と逆の左足で放った一撃がニアへつられながらも必死にブロックに戻った奥山の右足に当たり、コースを変えてネットを揺らしたと初めて知った。

 さらに、ニアへつった味方がシマブクではなく、モラエスだった記憶違いもご愛敬。苦笑しながら、「それも含めて気持ちで取ったゴールだったと思います」と振り返った関口は、さらに、こんな言葉を紡いでいる。

「ここが特別なクラブなのはもちろんですし、自分がここに来た意味は新潟の出身という点を除いても、このクラブをJ1に上げなきゃいけないという思いもあった。その意味でひとつ結果を残せて良かったです」

 新潟市西区で生まれ、新潟明訓高校を卒業するまで新潟市で育った関口は、生まれ故郷のクラブへ抱き続けてきた憧憬の思いも込めて、決勝点となった移籍後初ゴール後にゴール裏へ一直線に駆けていった。

 今年で6年目を迎えていた関口のキャリアは、9月になって大きな転換点を迎えていた。

J1デビュー後に届いたオファー。関口正大が新潟に移籍を決断した理由

アルビレックス新潟加入のDF関口正大

関口正大は8月、V・ファーレン長崎で念願のJ1デビューを果たした【写真:Getty Images】


 高校卒業後に法政大学へ進んだ関口は2021シーズンにJ2のヴァンフォーレ甲府へ加入。2023シーズンの途中からはキャプテンを務めるなど、通算143試合にわたって甲府をけん引してきた。

 昨シーズンにはV・ファーレン長崎へ移籍。2位に入ってJ1昇格を果たした喜びを分かち合い、今年前半のJ1百年構想リーグを経て、8月に開幕した新シーズンで念願のJ1デビューを勝ち取った。

 そして、リーグ戦でそれまで全6試合に出場していた9月に入って新潟からオファーが届いた。

 新潟では不動の右サイドバックで、副キャプテンも務めていた藤原奏哉がシーズン開幕後の9月15日にJ1のガンバ大阪へ完全移籍。代わりを務められる存在として、新潟市出身の関口へ白羽の矢を立てた。

 夏の移籍期間は同16日に閉まる。関口は「時間が時間だったのでそんなに長くは…。そのなかで自分なりに深く考えたつもりです」と苦笑しながら、カテゴリーを下げる決断に至るまでの経緯を明かす。

「簡単な話ではなかったです。もちろん、自分のなかでも悩みましたし、J1でプレーしたい気持ちもありましたし、そのなかで『オファーをくれたのが新潟だったから』というところも、もちろん考えました。

いろいろと考えたなかで、それ(J1昇格)を新潟でできれば自分のなかでも一番気持ちがいいというか、やりがいがある、と。このチームを本気でJ1へあげたいという思いで、長崎からの移籍を決断しました」

 交渉の席に着いた寺川能人強化部長から「ウチにきてほしい」と切り出された瞬間を、関口は「うわっというか、ちょっと変な感じがしました」と笑顔で振り返り、幼少期の記憶とリンクさせた。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top