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J1 2026.10.28 11:50

「5枚にするか?」に「大丈夫」。川崎フロンターレ主将・脇坂泰斗が信じた2人のセンターバック「彼らの準備が早いから」【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 フリーライター photo by Getty Images

川崎フロンターレの脇坂泰斗
川崎フロンターレの脇坂泰斗【写真:Getty Images】



「5枚にするか?」「大丈夫」。川崎フロンターレがファジアーノ岡山を相手に逃げ切りを図る試合終盤、ベンチからの提案にそう答えたのはキャプテンの脇坂泰斗だった。押し込まれる展開で、なぜ5バックへの変更を選ばなかったのか。その判断と、試合後に若手3人を労った言葉に、主将としての視点が表れていた。(取材・文:菊地正典)[1/2ページ]

【2026/27 明治安田J1リーグ第12節】
2026年10月25日 川崎フロンターレ 2-1 ファジアーノ岡山
(Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu)

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脇坂泰斗はどんな時も仲間を労う

ファジアーノ岡山に勝利した川崎フロンターレ
脇坂泰斗は常にチームメートの健闘を称え、労うことを忘れない【写真:Getty Images】



 脇坂泰斗は、どんなときでも試合が終わればチームメイトの健闘を称え、労う。

 たとえば8月9日に行われた26/27シーズンのJ1第1節、アウェイでの東京ヴェルディ戦の試合終了直後には、真夏に開幕戦を戦った疲労感と後半アディショナルタイムに追いつきながらも勝利できなかった悔しさで一度は座り込んだものの、すぐに立ち上がってチームメイトに駆け寄った。

 10月25日にホームで戦ったファジアーノ岡山戦も同じだった。

 勝利しているのだからすんなり喜べることはもちろんだが、チームメイトと歓喜のタッチをしていくなか、キャプテンは、持山匡佑、山市秀翔、大関友翔と途中出場した若手3人に対してタッチする流れで頭を撫でた。

 それには、単に若手だからとか、もちろん偶然などではなく、明確な理由があった。

「やりたいプレーじゃない局面に追われるのって試合終盤にあるじゃないですか」

 そう切り出した脇坂は、3人の貢献についてこう説明した。

「自分もそういう経験をしてきたからわかるんです」

川崎フロンターレの大関友翔
脇坂泰斗は大関友翔ら若手の奮闘に感謝する【写真:Getty Images】



「彼らは自分をアピールしなければいけないなかで、チームの勝利のためにプレーするって簡単じゃない。でも、自分もそういう経験をしてきたからわかるんですけど、そういうのは成長につながると思います。

 そういうなかで、運動量や勢いを出してくれたので、単純に感謝の気持ちもありました。彼らが途中から出てこなかったら、もしかしたらもっとキツい試合になっていたかもしれません」

 そして、目を細める。

「大関が左にいるから、自分も左に流れて時間を作れましたし、山市が右側にいるから左に構えられましたし、持山も山市が出てきてから奮闘し始めた(笑)。同期で切磋琢磨しているようにも見えました」

 フロンターレを象徴する14番を背負って6シーズン目、キャプテンになって4シーズン目、6月で31歳になった脇坂が柔和な笑顔で若手について話す様子からは、チームをけん引するたくましさが感じられた。

 もっとも、「やりたいプレーじゃない局面に追われた」のは自身も同じだったはずだ。

 とくに前半は、ロングボールを蹴り、マンツーマンで前線からプレスをかけながら、セカンドボールの回収を狙う岡山に押し込まれる展開が続いた。

 シュート数もボール支配率もゴール期待値も相手に上回られ、ボールを奪った位置の70%以上がディフェンディングサードであり、一度もアタッキングサードでボールを奪えなかった。

 そもそも、この試合に向けた準備は対マンツーマンではなかった。

「相手に前を向いた守備をされるのって…」

川崎フロンターレの脇坂泰斗
「相手が何が嫌かということを考えながらプレーできたのはよかった」【写真:Getty Images】



 それは想定外だったというわけではなく、マンツーマンの場合は結局、個で相手を上回るかどうかということにもなるし、フロンターレが4-2-3-1、岡山が3-4-2-1と形がハマらないことを考えれば、相手がゾーンで来ると考えて準備したほうが有効だからだ。

 だから押し込まれたのか、とも考えられるが、直近の経験によって焦りはなかったと脇坂は主張する。

「相手に前を向いた守備をされるのって、なんて言うんだろう……結構、神経をそがれるんですよね。それでボールを失わないのが一番いいんですけど、失ってしまったときのリスクを考えてチームで判断して、相手が何が嫌かということを考えながらプレーできたのはよかったと思いますし、一辺倒にならずにセカンドボールを拾ったら広げるとか、そういったところは名古屋戦の反省を生かせたと思います」

 そして先制点は、自陣ペナルティーエリアの手前、トップ下の本来のプレー位置よりも明らかに低い場所で脇坂が相手のパスをインターセプトしたことによって生まれた。

「江坂(任)選手のフリックでルカオ選手にボールが入ったときに、ボランチがカバーしなければいけない危ない場所が空いていた」

 ボランチである橘田健人、山本悠樹の守備に問題があったわけではない。橘田は江坂にプレッシャーをかけ、山本はペドロ・ホマーノを背負いながらボールを受けたルカオのパスコースを消そうとした。

 ならば、自身が埋めなければならない。脇坂は首を振ってオベルダンがフリーで走り込んでいることを確認すると、パスコースに向かって最短距離をスプリントしてボールを奪う。そのままオベルダンをかわし、デリキ・ラセルダのゴールをアシストするマルシーニョへパスをつないだ。

「自分たちの良さは奪ったあとの正確な判断。簡単に蹴り出して相手ボールにしてしまうのではなくて、前につなぐというところは自分やボランチの選手は特にやらないといけない。

 そこでうまくマルシーニョが見えたので、相手をかわして、スピードを殺さないようなパス。起点になれて良かったと思います」

 後半は一度持ち直したように見えたが、終盤には1点を返した岡山の勢いを受ける格好になった。

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