
欧州5大リーグ、赤字クラブランキング1~5位【写真:Getty Images】
欧州5大リーグに所属する全96クラブを対象に、2025年決算の赤字額を調査した。クラブなどが公表した公式決算を優先し、税引後純損益をもとにランキングを作成。巨額の収入を得ながら、それを上回る損失を計上したクラブはどこなのか。2026年決算が公表されているクラブについては最新の財務状況にも触れながら、欧州サッカーの経営実態に迫る。※決算の会計期間、連結・単体の区分、対象事業の範囲はクラブによって異なる。(金額は1ユーロ=180円、1ポンド=205円換算)[1/5ページ]
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5位:トッテナム(イングランド)

トッテナムの選手たち【写真:Getty Images】
赤字額:9466万6000ポンド(約194億653万円)
売上高(原則として移籍関連収益を除く):5億6488万1000ポンド(約1158億円)
対象決算:2025年6月期/Tottenham Hotspur Limited連結決算
【売上高はワースト10で最大】
トッテナムは2025年6月期決算で9466万6000ポンド(約194億円)の赤字を計上した。前年の2622万6000ポンド(約54億円)から赤字は約3.6倍に拡大した。2024/25シーズンはUEFAヨーロッパリーグ(EL)で優勝した一方、プレミアリーグでは17位に低迷した。
売上高は前年比約9%増の5億6488万1000ポンド(約1158億円)。本ランキングの赤字ワースト10では最高額であり、2番目に多いチェルシーを約152億円上回っている。
EL優勝によってUEFA大会賞金は前年の約130万ポンドから3471万6000ポンド(約71億円)に増加した。しかし、これは売上高全体の約6%にすぎない。
最大の収入源は約2億7670万ポンド(約567億円)に達した商業収入で、全体の約49%を占める。スポンサーやグッズ販売に加え、スタジアムでのNFL公式戦、コンサート、見学ツアーなどが収益を支えている。主催試合の増加によって試合日収入も約1億2647万ポンド(約259億円)を計上した。
一方、国内リーグでの低迷が響き、テレビ・メディア収入は前年の約1億6591万ポンド(約340億円)から約1億2699万ポンド(約260億円)へ減少。約3892万ポンド(約80億円)の減収幅は、UEFA大会賞金の増加額を上回った。
【選手売却益の減少と特殊損失も】
支出面では人件費が前年比約15%増の2億5581万1000ポンド(約525億円)に達した。過去の選手補強に伴う移籍金などを契約期間に分けて費用計上する「選手登録権の償却費」は1億4118万ポンド(約289億円)にのぼった。
その他のサッカー取引関連費用を含めると、1億4672万ポンド(約301億円)におよぶ。一方、選手売却益は前年の約8231万ポンド(約169億円)から約5257万ポンド(約108億円)へ縮小し、収支を圧迫した。
さらに、将来、一定の条件で株式を取得できる権利「ワラント」の評価額変動により、2342万ポンド(約48億円)の損失を金融費用として計上した。これは会計上の損失であり、同額の現金が流出したわけではない。雇用契約などに関する特別費用も約1160万ポンド(約24億円)発生した。
こうした特殊要因が含まれるため、赤字の全額を通常の運営による損失とみなすことはできない。営業活動による現金収支は約6230万ポンド(約128億円)の黒字を確保している。
ただし、選手関連費用の増加や売却益の減少は継続的な課題だ。純有利子負債も約8億3120万ポンド(約1704億円)に達したが、金融借入の90%超が固定金利で、平均残存期間は17. 6年と長い。
赤字ワースト10で最大の売上高を誇りながら、巨額の損失を計上したトッテナム。収益力の高さを経営の黒字化につなげられるかが問われている。