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【サッカー×ビジネス】野々村芳和がビジネス視点から日本サッカーを斬る! 第1回:魅力的なコンテンツにするには…(後編)

Jリーグ創設から20年。今後、日本サッカーが飛躍していくためには何が必要なのか? とりわけ、ビジネス面では財政危機になるクラブが頻出するなど、未熟だと言わざるを得ない。改善のヒントはどこにあるのか。コンサドーレ札幌の社長・野々村芳和氏が一般企業の経営者との対談から探る。第1回のゲストは株式会社ポッケの廣瀬周一・代表取締役社長だ。

【前編はこちらから】

「サッカーファンがどこにいるのかわからない」

――株式会社ポッケではユーザーに対して、サッカーで言えばサポーターに該当しますが、その心を掴むためにされていることはありますか?

廣瀬 コンテンツを提供する仕事なので、ユーザーの心をつかむには一つひとつの質問に懇切丁寧に対応していくしかないんです。妊娠育児サイトであれば、ユーザーからの改善点にくまなく答えていったら、いつの間にか会員が増えてコミュニティが活性化しました。

 ただ、サッカーサイトの『サッカーを読む! Jマガ』を立ち上げたときに難しさを感じたことがあります。会員を増やすために広告を打ちたいのですが、どこにどう広告を打てば会員数アップに繋がるのかわからなかった。

 普段、サッカーファンがどこにいるのかわからない。あまり一般的ではないような印象を受けました。コンサドーレのファンもまずは北海道限定で新規のファンを探すわけですか?

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野々村「アジアへ進出する企業の注目度は高い」【写真:松岡健三郎】

野々村 基本的にはそうですね。ただ、新しいお客さんを呼ばないといけないんだけれど広告を打てるだけの十分な資金がありません。プロ野球に比べれば雲泥の差ですよ。これはどこのJクラブでも同じ状況にあると思いますね。

 札幌はコアなサポーターが1万人くらいいるのでSNSなどで情報発信すると、その人たちには確実に届くのですが、その他北海道の480万人には伝わらないのが歯がゆいところで、僕自身がメディアに頻繁に出て何とかして露出を増やそうとしています。朝5時の番組に出るために4時半にスタジオ入りしたり…。以前は出演料をもらっていたテレビ番組に無償で出ている…(笑)

 新規のサポーターを増やして興行収入を上げるほかにも、広告料収入も増やす必要があります。今までは広告主さんにコンサドーレを通して北海道の人たちにアピールしてもらっていたものを、ベトナムの英雄であるレコンビンを獲得したことで、今後は新たに、たとえばスタジアムに看板を出したときに、それがベトナムの9000万人に伝わる可能性が出てきました。

 これはすごく価値が大きなことでアジアへ進出する企業の注目度も高い。先日、住商さんとの契約が締結できたのもこの新たな流れがあってのことですね。

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