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J1 3週間前

まだ常勝軍団の完全復活とは言えない…。再び黄金期を迎えるために必要なこと【鹿島アントラーズ 33年間の記憶/連載コラム最終回】

シリーズ:鹿島アントラーズ 33年間の記憶 text by 元川悦子 photo by Getty Images
鹿島アントラーズ、鈴木優磨
鹿島アントラーズに所属する鈴木優磨と柴崎岳【写真:Getty Images】



 9年ぶり9度目のJ1リーグ制覇を成し遂げた鹿島アントラーズ。近年はタイトルと無縁のシーズンを過ごすことが多かった常勝軍団は、どのようにして強さを取り戻したのか。Jリーグ開幕当時から続く歩みを振り返りながら、かつての黄金期と現在のチームにある共通点、今に繋がる変化などを、長年鹿島を取材し続ける元川悦子氏の言葉から探っていく。今回は第6回(全6回)。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]

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「鹿島アントラーズにとってすごく大きなこと」

鹿島アントラーズ
9年ぶりのJ1タイトルを手にした鹿島アントラーズ【写真:Getty Images】

 鹿島アントラーズは、2025年は何とかしぶとく逃げ切り、9年ぶりのJ1タイトルを手にした。

「タイトルの味を知らない選手たちにこの味を知ってもらったことは、鹿島にとってすごく大きなことだと思います。

 若かった頃の自分たちのようにタイトルを欲していく気持ちが一番大事なので。その気持ちは来年にも活きてくる。『またこの景色を見たい』と思って、みんながタイトルを目指していくようになるのが、強くなるために必要なことですね」

 今季全試合フル出場した守備の要・植田直通がこう語気を強めた通り、鹿島が新たな黄金期を築こうと思うなら、ここからタイトルを量産していく必要がある。



 2026年はご存じの通り、変則的なシーズン。2~6月は明治安田Jリーグ百年構想リーグという特別大会が行われ、J1は東西2グループで順位を争い、最終的に順位決定戦に挑む構図だ。

 鹿島としてはすでに26/27シーズンAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)出場権は得ているものの、優勝して夏から始まる移行後の新シーズンで圧倒したいところだ。

 26/27シーズンのJ1、JリーグYBCルヴァンカップ(ルヴァン杯)、天皇杯がどういう日程になるのかはまだ分からないが、天皇杯の元日開催が決定したため、リーグ戦とACLEの間に天皇杯の日程も入ってくることになりそうだ。

 さらにルヴァン杯が加わるとなれば、超過密日程を強いられるのは間違いない。

過密日程を戦い抜くために必要なのは…

田川亨介 鹿島アントラーズ
川崎フロンターレとの国立決戦でゴールを決める田川亨介【写真:Getty Images】

 2021年以降、ACLEから遠ざかり、カップ戦もファイナルまで勝ち上がっていない彼らにしてみれば、まずそのスケジュールをどう制していくかが重要なポイントになってくる。

 2025年のヴィッセル神戸やサンフレッチェ広島、FC町田ゼルビアがそうだったように、国内タイトルとACLEが重なってくると、どうしても継続して高いパフォーマンスを出せなくなってくる。

 主軸にケガ人が続出すれば、それこそ一気に下降線を辿ることもあり得る。

 だからこそ、分厚い選手層と多彩な戦い方を身に着けなればいけないのだ。



 今季の陣容をほぼ維持できるという前提で見ると、FW陣はレオ・セアラ、鈴木優磨の両エースに加え、田川亨介、チャヴリッチ、徳田誉にユースから昇格してくる見通しの吉田湊海が加わる形になりそうだ。

 ただ、田川やチャヴリッチはケガがちで、徳田も好不調の波がまだ大きい。しかも若いタレントは夏以降の海外移籍の可能性があって、チームにとどまるとは限らない。

 それを視野に入れると、もう1枚は2ケタ得点を取れるFWが必要。おそらく補強は百年構想リーグ後になるだろうが、中田FDら強化部には決定力のある優れたFW獲得に向けた準備を進めてほしい。

本気で常勝軍団復活を果たすためには…

柴崎岳
シーズン終盤はベンチ外が続いた柴崎岳【写真:Getty Images】

 アタッカーに関しては、FW兼務のチャヴリッチに今夏加入したエウベル、終盤にいい働きをした荒木遼太郎と松村優太、来季はケガから復帰する見通しの師岡柊生、明治大学から来季加入が決まっている林晴己らが軸となる。

 鈴木優磨や小池龍太も2列目で使えることを考えると、ある程度潤沢ではあるが、もう1枚くらいは確実に戦力になる人材を加えたい。

 そのあたりは資金力によるところも大だが、本気で常勝軍団復活を目論むのであれば、ここで投資を惜しまないでもらいたい。



 一方、ボランチに目を向けると、三竿健斗、知念慶、舩橋佑に2列目兼務の樋口雄太がいるが、気になるのは柴崎岳の動向。今季も開幕時はレギュラーだったが、徐々に出番が少なくなり、終盤はベンチ外が続いた。

「柴崎でさえ試合に出られない」という厳しい状況が選手たちの危機感を煽り、個々の努力と成長につながった部分はあるが、柴崎自身は複雑な胸中だったに違いない。

 2026年も残留となったが、守備強度や運動量などが上がってこないと鬼木監督には使われないだろう。そこで本人がどんな選択をするのかは今一度、注視する必要がありそうだ。

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