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J1 2日前

「その延長線上に代表があれば」セレッソ大阪、石渡ネルソンは地道に上へ。大器が語るJ1初スタメンの手応え【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images
石渡ネルソン セレッソ大阪
セレッソ大阪でプレーする石渡ネルソン【写真:Getty Images】



 2026明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンド第5節が各地で行われた。セレッソ大阪は清水エスパルスを迎え、スコアレスで迎えたPK戦の末に勝利。得点への直接関与は叶わなかったが、この試合でダイナミックな推進力を見せたのが石渡ネルソンだ。J1初スタメンを飾った20歳の大型MFは、そのポテンシャルを大いに示した。(取材・文:元川悦子) [1/2ページ]
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「早く一緒にプレーしたい」香川真司も期待する大器

セレッソ大阪の香川真司
清水エスパルス戦を欠場した香川真司【写真:Getty Images】

 アーサー・パパス監督体制2年目の2026年はJ1百年構想リーグ・WESTでジャンプアップし、セレッソ大阪は8月開幕の2026/27シーズンで悲願のタイトルを狙おうとしている。

 しかしながら、百年構想リーグ序盤は黒星が先行。4試合終了時点で勝ち点4の8位という不本意な状況を強いられている。

 とはいえ、上位の京都サンガF.C.やサンフレッチェ広島との勝ち点差はまだそこまで開いてはいない。ここから巻き返せる可能性もあるだけに、3月7日の第5節・清水エスパルス戦は勝ち点3を手中にしたかった。



 そこで指揮官は若くフレッシュな陣容で戦うことを決断。香川真司が軽い負傷で欠場したこともあり、ボランチには20歳の石渡ネルソンを抜擢。キャプテン・田中駿汰とコンビを組ませた。

 石渡はアカデミー出身。高校3年だった2023年にトップ昇格を果たし、2024年は愛媛FC、2025年はいわきFCへレンタル移籍。実戦経験を積み重ね、今季満を持して古巣に戻ってきた。

 1月はAFC・U-23アジアカップに参戦していたため、宮崎キャンプは不参加となったが、香川が「ネルソンがどれくらい成長したかすごく楽しみ。早く一緒にプレーしたい」と話したほど、周りからの期待が大きかったのだ。

「ああいうところで負けてちゃダメ」

セレッソ大阪
後方からボール奪取のタイミングをうかがう石渡ネルソン【写真:Getty Images】

「前にセレッソにいた時よりはメンタルの部分ですごく成長したと思うし、相手がどこであろうと別に負ける気はしない。もっともっとうまくなれるし、上に行けると思えるようになりました」と本人も前向きにコメント。強い気持ちでJ1初先発の記念すべき一戦に向かったのだ。

 立ち上がりは清水も高い強度を押し出してきて、一進一退の攻防が続いた。セレッソはトップ下の中島元彦を中心にゴールに迫るが、得点には至らない。

 膠着状態が続く中、田中駿汰と石渡の両ボランチは冷静さを失わず、いい距離感をキープ。球際や寄せの部分で相手と互角以上に渡り合っていた。

「1回、カピ(シャーバ)に吹っ飛ばされたシーンがあったんで、『カピ、強いな』と思ったんですけど、ああいうところで負けてちゃダメ。ボールを隠しながらキープしたり、奪ったりできるようにならないとダメだと思いました」と石渡は負けん気の強さを押し出した。



 ギラギラ感を強めて迎えた後半。セレッソが清水を押し込んだこともあり、彼が前に上がっていくシーンも増えていく。

 いわき時代には前目のポジションでも起用され、4ゴールを挙げているが、本人も攻撃力には自信があるのだろう。

「前半やってある程度、できるのが分かったんで、そこからプラスアルファで前に入って行くプレーをしたいなと。それが自分の1個、強みなので、ハーフタイムに『後半は行ってやろう』と思っていました」と彼は言う。

 その1つの象徴と言えるのが、中盤をドリブルで持ち上がって中島に絶妙のスルーパスを出した57分のチャンスだろう。

「自分の評価としては悪くなかったかなと。でも…」

ポール・ポグバ
石渡ネルソンがプレーモデルにあげるモナコ所属MFポール・ポグバ【写真:Getty Images】

 これは惜しくもシュートには至らなかったが、石渡の攻撃センスの一端が窺えた。彼自身はポール・ポグバをプレーモデルにしているというが、ここからそういったダイナミックなプレーヤーになれるかもしれない。際限ない可能性を感じさせたと言っていい。

 結局、石渡は82分にアカデミーの先輩・喜田陽と交代。ベンチに下がったが、試合は0-0のまま終了。その後のPK戦で勝ち切り、勝ち点2を手にすることができた。

 アカデミー時代からセレッソ勝利の瞬間に胸を弾ませてきた20歳のボランチにとって、PK戦でも勝利は勝利。自分がJ1初スタメンを飾った試合で歓喜の瞬間を味わえたことは、心から嬉しかったという。

 そしてここからが本当の勝負だと捉えている様子だ。



「自分の評価としては悪くなかったかなと。でも全然もっとできるなという感覚もあります。フィジカル的には前にセレッソにいた時よりはるかによくなっていると思いますけど、今日は最後に足がつってしまった。J1の強度で90分以上走らないとダメですし、もっと強くならないといけない」

 実際、セレッソのボランチ競争は熾烈である。清水戦に出場した田中駿汰と喜田に加え、大ベテランの香川が控えているし、それ以外にも吉野恭平、大迫塁といった面々もいるのだ。

 パパス監督はセレッソの将来を見据えて若手にチャンスを与える方針を示してはいるものの、たまに試合に出るだけでは物足りない。石渡には突き抜けてもらわなければ困るのだ。20歳の大器は先輩たちをリスペクトしながら、胸の内を語る。

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