サンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】
明治安田J1百年構想リーグ第8節が22日に行われ、サンフレッチェ広島は清水エスパルスに3-1で敗れた。この日、ボランチとしてスタメン出場した山﨑大地は、バルトシュ・ガウル新監督のもと、センターバックとの二刀流に挑戦中だ。シーズンを棒に振る大怪我から復帰した25歳は今、ピッチで確かな存在感を示している。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
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「あれは何がなんでも…」
果敢にボールを奪いに行くサンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】
ペナルティーエリア(PA)内の右角あたりで仰向けに倒れ込み、清水エスパルスの選手たちが歓喜している声を聞きながら、サンフレッチェ広島のボランチ、山﨑大地は自身の直前のプレーを悔やんでいた。
1-3の完敗とともに試合を終えてからしばらくしても、脳裏にはこんな言葉が駆け巡っていた。
「あとちょっとでしたけど、あれは何がなんでも、自分の体ごと止めにいかなければいけなかった」
清水のホーム、IAIスタジアム日本平に乗り込んだ22日の明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンドWESTグループ第8節。両チームともに無得点で迎えた19分に、山﨑の表情を曇らせる場面が生まれていた。
清水の北川航也が放った2本の決定的なシュートを、森保ジャパンに選出されている守護神・大迫敬介が立て続けにセーブした直後。こぼれ球がPA内の右角あたりへ弾んでいった。
自軍のゴール前を固めていた広島の選手は誰もいない。対照的に清水の左サイドバック、吉田豊が勢いをつけて走り込んできながら、利き足とは逆の左足を思い切り振り抜く体勢に入っていた。
危機感に導かれるように、山﨑が真っ先に吉田との間合いを詰めながらシュートブロックに飛び込んでいく。吉田の眼前で右足を伸ばしたが、強烈なシュートはつま先のわずか先を通過していった。
慌てて振り返った先で先制点を決められた光景を見た山﨑は、その場に倒れ込みながら、右足だけを伸ばすのではなく、執念を込めて体ごと飛び込まなければいけなかったという思いに駆られた。
前半での交代は「当たり前かな」
サンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】
直後の21分にも大迫の不用意なミスからオ・セフンに追加点を決められ、2点のビハインドを背負って迎えたハーフタイム。バルトシュ・ガウル監督から木下康介との途中交代を告げられた。
反撃へ向けてシステムを<3-4-1-2>から<4-2-3-1>にスイッチ。最前線の1トップに木下が入るとともに、塩谷司とダブルボランチを形成していた山﨑に代わって松本泰志が投入された。
山﨑が6度目の先発を果たした百年構想リーグで、最短のプレータイムに終わった瞬間だった。
「満足いく出来でもないし、ミスも多かった。こういう試合展開でも、信頼して使ってもらえるようなプレーをしていかないといけない。しっかりと修正できるように、次は気持ちを切り替えてやっていきたい」
ガウル監督から具体的な説明はない。それでも45分間での交代を、山﨑は必然と受け止めていた。
「プレー自体があまりよくなかったので当たり前かな、と。もっとボールを受けて自分たちのリズムを作っていかないといけなかったし、あとはセカンドボールもなかなか拾えなかったので」
順天堂大学から加入して4シーズン目。新たに指揮を執るガウル監督のもとで迎えたキャンプ中に、主戦場としてきたセンターバック(CB)だけでなく、ボランチへの二刀流への挑戦を打診された。
「もちろん難しさはありますし…」
サンフレッチェ広島の山﨑大地【写真:Getty Images】
「監督からは『CBでプレーできるのはもちろんわかっているけど、ボランチでもタイチを試してみたい』と。そのうえで『アンカー的な位置で守備もできるし、攻撃も組み立てられるから』と言われました」
意気に感じた山﨑にとって、一列前のボランチでのプレーは実はサプライズではなかった。
「ボランチとしてもプレーしていかなければいけない、というのは自分のなかでも感じていました。もちろん難しさはありますし、もっと勉強しなきゃいけないけど、プレーしていて楽しさも感じています」
荒木隼人が怪我で離脱していたV・ファーレン長崎との開幕節、ファジアーノ岡山との第2節では3バックの真ん中で先発フル出場。荒木が復帰したセレッソ大阪との第3節からはボランチに移った。
広島のボランチ陣では日本代表経験があり、昨シーズンのJリーグベストイレブンを初めて受賞した田中聡が、オフにブンデスリーガ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフへ完全移籍している。
身長184cm・体重82kgと田中よりひと回りサイズが大きく、CBならではのデュエルの強さも搭載。大学時代からパスの供給能力にも自信があった山﨑の抜擢は、新生・広島の大きな魅力となる。