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「基準は常にJ1」加藤大育はジュビロ磐田の救世主となれるか? “非エリート”のたたき上げが「声」でチームを変えてゆく【コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸 フリーライター photo by Getty Images
加藤大育 ジュビロ磐田
SC相模原からジュビロ磐田に移籍した加藤大育【写真:Getty Images】



 4月にジュビロ磐田に合流してからわずか2試合。少ない時間の中で大いに存在感を放っているのが、SC相模原から完全移籍で加入した加藤大育だ。18日のRB大宮アルディージャ戦でもポリバレントな活躍を見せ、チームの逆転勝利に大きく貢献している。ブリオベッカ浦安でシニアキャリアをスタートさせた苦労人が、J1昇格の原動力になろうとしている。(取材・文:河治良幸)[1/2ページ]
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明治安田J2・J3百年構想リーグ EAST-B 第11節
RB大宮アルディージャ 1-2 ジュビロ磐田
NACK5スタジアム大宮

「そこの1対1で負けなかったら試合も勝てますし」

RB大宮アルディージャ、泉柊椰
先制点をあげたRB大宮アルディージャの泉柊椰【写真:Getty Images】

 SC相模原からジュビロ磐田に加入して2試合目。加藤大育は2026/27シーズンでJ1昇格を争うRB大宮アルディージャを相手に、前半は4-4-2の右サイドバックとして大宮のキーマンである泉柊椰と対面しながら主に守備で奮闘した。

 後半途中からは磐田のメンバー変更に応じて左サイドバックに回り、攻撃面でも持ち前の推進力を発揮。相手ディフェンスを脅かし、劇的な逆転勝利を後方から支えた。

 試合は前半、いきなり高い強度で来たホームの大宮の強度に押し込まれる展開から始まった。

 そして18分に、二次攻撃から中に流れた泉のゴールで先制を許す。その後も磐田は相手の勢いに晒される苦しい時間帯が続いた。

 強度もさることながら、後ろを可変して、ボランチの立ち位置をずらしながら主導権を握る大宮に対して、磐田はなかなか守備がハマらずに、ブロックを固めざるを得ない時間が続いたのだ。



 加藤は自チームの守備についてこう振り返る。

 「相手は個の力がある選手が多いので。そこの1対1で負けなかったら試合も勝てますし。何度かやられる場面もありましたけど、それでも味方がカバーしてくれた」

 実際、個の局面では押し込まれる場面もあったが、加藤も「なかなか自分たちのプレーがうまくできずにいた」と認める前半を耐え切ったことが、後半への布石となった。

 磐田にとって重要だったのはハーフタイムでの修正だ。

後半に結果に繋げた「チームとしての狙い」

グスタボ・シルバ ジュビロ磐田
同点弾を決めたグスタボ・シルバ【写真:Getty Images】

 加藤が「とにかくやることをしっかりやる、徹底するところをするというチームの共通認識があった」と語るように、後半に向けて戦い方を再確認。

 ピッチ上でも「もう1回、自分たちがやるべきことをやろう」と声をかけ、守備の強度と運動量を引き上げていった。

 後半は次第にオープンな展開となり、磐田がグスタボ・シルバなど、交代で入った選手たちの持ち味を発揮する時間帯が増えていく。

 この流れの中で、加藤の真価が表れた。

 右から左へとポジションを移し、守備対応と攻撃参加を高いレベルで両立する。

「相手も疲れてましたし、自分は運動量を出すのが得意なので。前の選手が時間を作ってくれたことで、自分の上がる時間ができた」と自身も語る通り、前線の起点形成と連動したオーバーラップで攻撃に厚みをもたらした。



 そうした流れで、川合徳孟の左からのサイドチェンジが起点となった同点ゴールの場面に関して、左でサポートした加藤は「逆サイドが空くっていうのはハーフタイムでも言ってたので。チームとしての狙いが出た」と語る。

 さらに終盤、カウンターのリスクを抱えながらも押し込み続けた時間帯について、加藤はチーム全体の機能性を強調する。

「前線で起点を作れる選手がいることで、後ろの押し上げもできた。全員が役割を全うして、ラストワンプレーで点を取れたことは非常に良かった」

 個の力だけでなく、連動したチームとしての完成度が、劇的な逆転劇を呼び込んだという認識だ。

「声ひとつでチームを変えられると思う」

ジュビロ磐田
PK戦の末、AC長野パルセイロに勝利したジュビロ磐田【写真:Getty Images】

 この試合を通じて際立ったのは、加藤の適応力だ。

 PK戦で勝利した前節のAC長野パルセイロ戦は3バックの右側を担当し、大宮戦は4-4-2の右サイドバックを任され、途中から左に回って攻守に奮闘した。

 相模原でも3バックの右、左、中を全てのポジションを経験し、今年は4バックのサイドバックとセンターバックの両方で起用されていた。

「このポジションだったらこういうプレーが必要だなと常に考えている」という加藤の適応力の高さが証明された試合でもある。

 そこには叩き上げの非エリートならではの貪欲さが、大きく影響しているようにも感じられる。



 加入時から「声で馴染めていけばいい」と語っていたように、後方のサイドから声を出し続け、チームの活性化にも一役買っている。

 本人も「声ひとつでチームを変えられると思う」と語る通り、そのリーダーシップは今後さらに重要性を増していくだろう。

 未来へのビジョンも明確だ。

「ジュビロ磐田でJ1昇格を目指し、チームがJ1に上がるために何をするべきか考えながら、プレーしていきたい」と語る加藤は、個人の成長とチームの目標を強く結びつけている。

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