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J1 11時間前

「1点取れば絶対に僕らの時間になる」名古屋グランパス、和泉竜司が聖地・瑞穂で「すごく大きい」と感じたこと【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images
名古屋グランパス、和泉竜司
名古屋グランパスの和泉竜司【写真:Getty Images】



 旧瑞穂を知る和泉竜司にとって、この一戦は特別だった。聖地の熱狂に包まれた一戦で、名古屋グランパスは前半にまさかの2失点。特別な試合で、理想とは程遠い展開を強いられた。だが、そのまま終わらないのがこの日の彼らだった。劇的な一戦の裏側にあった変化とは。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第11節
名古屋グランパス 2-2(PK5:4) アビスパ福岡
パロマ瑞穂スタジアム

聖地での特別な一戦に臨んだ名古屋グランパス

名古屋グランパス、和泉竜司
改修工事後初のパロマ瑞穂スタジアムでプレーする名古屋グランパスの和泉竜司【写真:Getty Images】

 2020年12月12日のJ1リーグ、横浜FC戦を最後に約5年間、改修工事に入っていたパロマ瑞穂スタジアム。名古屋グランパスにとって93年Jリーグ開幕時からの“聖地”と呼ばれた競技場がようやくリニューアルオープンし、こけら落としゲームとなる4月19日の明治安田J1百年構想リーグ第11節・アビスパ福岡戦を迎えた。

 記念すべき一戦を前にレジェンドのドラガン・ストイコビッチ氏も来場。2万8924人の大観衆が集結するなど、現地は大いに盛り上がった。

 舞台が完璧に整う中、名古屋としては4月4日のセレッソ大阪戦以来、2試合ぶりの白星を確実に手にしなければならなかった。

 そのプレッシャーで選手たちが空回りしたのか、試合の入りは想定外のものとなった。



 ミハイロ・ペトロヴィッチ(ミシャ)監督が「私が名古屋に来てから最もひどい前半だ」と語ったように、名古屋は相手に主導権を握られ、守勢を強いられたのだ。

 24分には相手フリーキックから碓井聖生に巧みな裏抜けを許し、早々と先制点を献上。35分には重見柾斗に2点目を奪われてしまったのだ。

 2失点目のシーンに象徴される通り、前半の名古屋は中盤のスペースがガラ空きになることが多かった。

 この時も高嶺朋樹が出した縦パスを福岡の奥野耕平がカット。見木友哉が持ち上がり、奥野、橋本悠とつながってそこからのクロスに見木が反応。こぼれ球を重見が仕留める形だったが、中盤がフリー状態の福岡は非常に攻めやすかったはずだ。

「前半の出来を見たら…」

名古屋グランパス、和泉竜司
名古屋グランパスの和泉竜司【写真:Getty Images】

「相手は2ボランチで、こっちは4−1(後ろ4枚とボランチ1枚)で回してて、前は5枚が張ってるんで、変な奪われ方をするとモリシ1枚になって、(稲垣)祥君や(藤井)陽也が掴みに行けず、ズルズルと運ばれてしまった部分があった。切り替えも失い方も含めて、前半はイージーなミスが多かった」とベテラン・和泉竜司も反省しきりだった。

「前半の出来を見たら本当にひどい試合だった。悪い時っていうのは絶対にあると思うけど、やっぱり2失点目をしないことがすごく大事。悪いなりに1−0で折り返さなきゃいけない」とも背番号7は語気を強めていたが、前半の彼らはアッサリとやられすぎた。

 大サポーターの後押しを受けながら、この試合内容は納得いかないはずだ。

「0-2で前半を終え、チームによってはハーフタイムを終えた時にブーイングされていた可能性もあります。



 そういった状況でも最後まで声援を送ってくれて、パワーを与えてくれたサポーターには心の底から感謝しています」とミシャ監督も話したが、特別なゲームでなかったら、もう一度、ギアを上げることはできなかったかもしれない。

 名古屋は何とか気力を振り絞り、後半へと突入したのだ。

 ミシャ監督はそのタイミングで2枚替え。山岸祐也と原輝綺を下げ、浅野雄也と菊地泰智を投入し、稲垣を3バック右に移動させるという大胆な采配に打って出たのだ。

「3点取ってひっくり返す」という指揮官の強い意思が表れた配置だった。

「1点取ることによって…」

名古屋グランパス、和泉竜司
名古屋グランパスの和泉竜司【写真:Getty Images】

「後半出る時から1点取れば絶対に僕らの時間になるし、相手も怖がるのは分かっていた」と和泉も力を込めたが、後半の名古屋は前半とは全く違った躍動感を押し出した。

 彼自身も11分には惜しいヘディングシュートを放つなど、得点への強い意欲を見せつけた。それでもなかなかゴールをこじ開けられず、焦りも感じられただろう。

 そこでミシャ監督はベンチに置いていた杉浦駿吾や小野雅史、森壮一朗といった面々を続々と投入。森と代わって下がった和泉は彼らに勝負の命運を託すことになった。

 こうした交代メンバーが起爆剤となって、ミラクル逆転劇が始まる。

 スコアが動いたのは83分。左サイドの崩しから木村勇大が入れたクロスに浅野が反応。鋭いヘディングシュートがさく裂し、ようやく1点を返すことに成功した。



「1点取ることによって、ホームを活かしたボルテージがすごく出ていた」と外から見ていた和泉は一気にヒートアップした雰囲気を強く感じていたという。

 ホームの熱気が最高潮に達する中、名古屋は凄まじい攻撃を披露。後半アディショナルタイムに小野のシュートを左足インサイドで合わせた木村が2点目をゲット。2−2に追いつき、PK戦につなげたのである。

 そして次の主役はシュミット・ダニエルだった。

 名古屋の絶対的守護神は、福岡の3番手・道脇豊のシュートコースを確実に読み切ってドンピシャでセーブ。このアドバンテージを守り切り、チームは勝利。勝ち点2を手にし、試合前の6位から3位に浮上する離れ業をやってのけた。

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