ジュビロ磐田の角昂志郎【写真:Getty Images】
三浦文丈監督体制で再出発したジュビロ磐田は、苦しみながらも勝利を積み重ねている。その中で存在感を示しているのが、ダブルキャプテンの一人である角昂志郎だ。松本山雅FC戦では自ら獲得したPKを決めて同点に導き、さらにPK戦でも冷静に沈めて勝利に貢献。若きキャプテンが示した勝負強さと、その先に見えるチームの現在地とは。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
明治安田J2・J3百年構想リーグ・地域ラウンドEAST-B第13節
松本山雅FC 1-1 (PK5:6)ジュビロ磐田
サンプロ アルウィン
フレッシュな陣容がスタメンに名を連ねたジュビロ磐田

今季初のスタメン出場を果たしたジュビロ磐田の三浦龍輝【写真:Getty Images】
明治安田J2・J3百年構想リーグ・EAST-Bを志垣良監督体制でスタートしたものの、なかなか成績が上向かず、4月22日に三浦文丈コーチが昇格する形になったジュビロ磐田。
新指揮官は前体制の方向性を生かしつつ、やるべきことを整理して4月25日の初陣・FC岐阜戦を戦い、1−0で勝利。何とか希望の見える一歩を踏み出したところだ。
こうした中、中3日で迎えたのが、29日の松本山雅FC戦。今回はキャプテン・川島永嗣を筆頭に前回のスタメンが外れ、完全ターンオーバーを実施した。
GKに今季初先発の三浦龍輝が入り、前線はもう1人のキャプテン・角昂志郎を頂点に、佐藤凌我、川合徳孟がシャドウに陣取るなど、フレッシュな陣容でゲームに挑んだのだ。
しかしながら、慣れない組み合わせと松本のハイプレスに苦しみ、前半の磐田は思うように攻撃を組み立てられなかった。
「ビルドアップの出口のところは2パターンくらい提示していますが、もっともっとスピーディーに精度を上げてやっていかなければいけない」
三浦監督はこう問題点を口にしたが、つなぎの部分で慌てて簡単にボールを失い、ピンチを招くようなシーンが何度か散見されたのは事実だ。
角昂志郎が「やっぱ必要」だと感じたこと

ジュビロ磐田の三浦文丈監督【写真:Getty Images】
「もう少し前線で起点を作りたかったですけど、想定してたより長い時間、山雅のサッカーが続いたんで、正直、前線3枚の良さはあまり出せなかった」と角も反省する。
彼自身は途中から佐藤とポジションを入れ替え、右シャドウでプレーするなど、少しでも状況を打開しようと奔走した。
三浦監督も「凌我と昂志郎の特徴を考えた時、昂志郎の方が運動量があってアジリティが高い。それで立ち位置を変えた」と説明していたが、角ら前線アタッカー陣にフィニッシュの機会は巡ってこない。
前半の磐田のシュート数もわずか「1」。これには背番号「39」も不完全燃焼感が強かったに違いない。
「数回あったチャンスになりそうなシーンを質でモノにできなかった。チャンスをモノにできる質がやっぱ必要だなっていうのは今日改めて感じました」
長い膠着状態を強いられた磐田。42分には相手のフリーキック(FK)から先制点を献上したのも痛かった。
彼らは0−1の劣勢でハーフタイムに突入する羽目になったのだ。
敗色濃厚のチームを救ったキャプテン

冷静にPKを決めたジュビロ磐田の角昂志郎【写真:Getty Images】
「俺たちは今、試されているよと。これを絶対に同点にしてひっくり返そうという話をしました」と三浦監督は熱く話したが、前半の彼らはカテゴリーが下の松本に守備強度や球際の部分で負けていた。
そこを改善しなければ勝利はつかめない。全員が気合を入れて後半へ突入したはずだ。
それでもしばらくは流れを取り戻せないと見るや、三浦監督は62分、ベンチに置いていたグスタボ・シルバや増田大空を投入。グスタボ・シルバの個の力で少しずつゴール前へ前進できるようになる。
さらに、川﨑一輝や井上潮音らを送り出して攻めの圧力を加えながら迎えた最終盤。背番号「39」が大仕事を見せたのだ。
右サイドの大外で得たFKを井上が蹴り、吉村瑠晟がゴール前で頭で落としたボールに反応したのが角だった。
彼はペナルティエリア手前ギリギリのところで受けると、目の前で寄せてきた井上愛簾を相手に仕掛け、巧みにPKをゲット。これを沈めて、1−1の同点に追いつき、敗色濃厚の窮地からチームを救ったのである。
角はしてやったりの表情を浮かべ、こう振り返る。