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J1 3時間前

迷いが消えた。清水エスパルス、「マジで疲れた」5連戦で嶋本悠大が得た大きなもの。「これを続けていけば…」のきっかけ【コラム】

シリーズ:コラム text by 榊原拓海 photo by Getty Images
嶋本悠大 清水エスパルス
清水エスパルスでプレーする嶋本悠大【写真:Getty Images】



 清水エスパルスのMF嶋本悠大が、一気に開花の時を迎えようとしている。明治安田J1百年構想リーグ・第12節からの5連戦、高卒2年目の若手がチーム内唯一の全試合スタメン出場を果たした。U-21日本代表から帰還後、清水の47番はいかにして居場所を確保したのか。(取材・文:榊原拓海)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第16節
清水エスパルス 1-1(PK:5-4) アビスパ福岡
IAIスタジアム日本平

「もちろんキツさはありますが…」

清水エスパルス
試合に臨む清水エスパルスの選手たち【写真:Getty Images】

 アビスパ福岡戦の後、MF嶋本悠大に「疲れた?」と問うと、彼は人懐っこい笑顔を浮かべながら、「そうですね。マジで疲れました」と口にした。

 それもそのはず。4月25日に行われた第12節の名古屋グランパス戦からはじまった5連戦、嶋本は全試合スタメンでピッチに立った。

 キャプテンのMF宇野禅斗も、絶対的主軸のMFマテウス・ブエノも、エースストライカーのFWオ・セフンも、5連戦の中でベンチスタートの試合があったにもかかわらず、である。

 チーム内で、嶋本は5連戦の全試合に先発出場を果たした唯一の選手だった。だが、彼にとって、この5連戦は単に若さを武器に走り切った期間ではない。

 4試合連続でスタメンに名を連ねた前節・セレッソ大阪戦の後には、「もちろんキツさはありますが、キツい中でもやれるのは自分の良さだと思っています」と話した後、「ここがチャンスなんで」とも語っていた。



 この言葉の通りである。

 5連戦が始まる前、嶋本は第9節のV・ファーレン長崎戦から連続してスタメン出場を続けているが、同試合まで、先発に名を連ねたことはなかった。途中出場もわずか2試合のみ。ベンチから外れる試合もあった。

 つまり、嶋本にとって、この5連戦は自信を深める期間であり、チーム内で立場を確立した期間でもあった。今季序盤に苦しい日々を経験したからこそ、キツくとも休むわけにはいかなかった。

 時はチーム始動時に遡る。

U-21日本代表と清水エスパルス、異なる「4-3-3」

U-23日本代表の嶋本悠大
U-21日本代表の嶋本悠大【写真:Getty Images】

 今季、吉田孝行新監督の下でチームが始動した2026年1月5日、三保グラウンドに嶋本の姿はなかった。

 ロサンゼルスオリンピック(ロス五輪)世代の日本代表として、AFC U-23アジアカップ サウジアラビア 2026を戦っていたからだ。

 同大会、嶋本は先発出場の機会が2試合だったとはいえ、全6試合に出場。若き日本代表のアジア制覇に貢献し、自信を深めていた。

「全試合に出場できて、自分の中では良いところも悪いところも出たと思っています。もっと自分を出したい、意欲的にボール関わりたいと思うことのできた期間でした」(嶋本)



 U-21日本代表の一員として得た経験は大きかったが、その一方で、新監督の下で戦術浸透を図った清水の鹿児島キャンプにまったく合流できなかったのは痛手だった。

 明治安田J1百年構想リーグの開幕を10日後に控えた1月29日にチームに合流すると、練習後に吉田監督からマンツーマンで指導を受けることもあったが、他のチームメイトと比較した時の“遅れ”は想像以上に大きかった。

 大岩剛監督が率いる若きU-21日本代表と清水は、「4-3-3」のシステムこそ同じだが、嶋本が本職とするインサイドハーフ(以下:IH)の選手に求められる役割は異なる。

転機となったヴィッセル神戸戦

ヴィッセル神戸対清水エスパルス
ヴィッセル神戸対清水エスパルスの模様【写真:Getty Images】

「自陣に戻ったり、そこから敵陣へ出て行ったりと、運動量はこっち(清水)の方が求められています」とは、今季の開幕を目前に控えた嶋本が、このチームの右IHに対して抱いていた印象だ。

 当然ながら、チームとしてのコンセプト、ルールも同じではない。嶋本は個人として、遅れを取り戻せないまま開幕を迎えた。

 以降、嶋本にとっては雌伏の時が続く。明治安田J1百年構想リーグが開幕してから、3月が終了するまで、嶋本がピッチに立ったのは、第4節ガンバ大阪戦のみ。

 これも後半アディショナルタイムのみの出場で、言い換えると、ほとんどピッチに立つことはできなかった。



 練習試合では右IHや左IHでピッチに立ち、ゴールやアシストも記録していたが、公式戦の舞台から遠ざかっていたこともあり、3月の韓国遠征に臨むU-21日本代表からも外れた。

 そんな嶋本にとって、1つの転機となったのが、4月1日に行われた第11節前倒し分のヴィッセル神戸戦だ。

 チームはいつもどおりの「4-3-3」でスタートしたが、WGを中心とした攻撃陣に負傷者が相次いだことを受けて、吉田監督は後半の頭から「3-4-2-1」に変更。嶋本は後半序盤の56分からピッチに立つと、左シャドーのポジションで、彼らしく常にゴールへ向かうプレーを続けた。

 神戸戦の後、嶋本は「自分の中で手応えはありました。これを続けていけば、いつかチャンスは訪れる。そのために、もっと自分からアクションを起こしていければ」と意気込んでいた。

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