
清水エスパルスでプレーする小塚和季【写真:Getty Images】
小塚和季 近年、国立競技場との相性が滅法悪い清水エスパルス。1-2で敗北した24日のガンバ大阪戦を含めて、直近の5試合で勝利無し。中盤が本職の小塚和季は、この日右ウイングとして先発した。国内外8つのクラブでプレーした81番は、来たる新シーズンに向けて「熱量が足りない」と警鐘を鳴らす。(取材・文:榊原拓海)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第18節
清水エスパルス 1-2 ガンバ大阪
国立競技場
G大阪戦のスタメンにサプライズ

試合に臨む清水エスパルス【写真:Getty Images】
G大阪戦のキックオフからおよそ2時間前に発表された清水のスタートリストには、“若干の”サプライズがあった。本職はセントラルMFの小塚和季が、ウイング(WG)と思われるポジションで先発に名を連ねていたことが理由だ。
もっとも、“大きな”サプライズではなかった。小塚は前節・ファジアーノ岡山戦の後半から、左WGの位置に入っていたからだ。とはいえ、今節はスタートから右WGに入ると予想できた人々は、決して多くなかったのではなかろうか。
その理由を、吉田孝行監督は次のように語る。
「(小塚は)戦術理解に優れた選手だと思っています。ボールをしっかり繋ぐところも、背後に飛び出すところも、色々と(チームとして)狙っていることをできるのではないかと思って起用しました」
今季、吉田監督の下で、右WGは長らく北川航也の定位置だった。
だが、北川の負傷、さらに左WGの主力だったカピシャーバの離脱も重なり、チームは一時[3-4-2-1]へ移行。再び[4-3-3]へ戻した後も、右WGの最適解を探る状況が続いていた。
前節・岡山戦で、チームが結果・内容ともに上回られたことも契機となり、吉田監督はG大阪戦で、思い切って小塚を右WGで起用した。
ただし、当の本人は至って冷静だった。
「それはそこまで自分のプレーには関係なかったですね」

清水エスパルス対ガンバ大阪の模様【写真:Getty Images】
「僕自身が持っているものを出すという意味では、(どのポジションでも)そんなにやるべきことに変わりはないのかなと思っています」
試合開始直後から右サイドで背後を狙う素振りを見せ、G大阪のダブルボランチの背後にスペースができれば、自ら使う工夫も欠かさない。
こうしたプレーは、今季ここまでの主戦場だった左右のインサイドハーフでも見せてきた。当時の経験が、突然の右WG起用に活きた側面もあるのだろう。
こうした見立てを伝えると、小塚は頷きつつも、「チームとして、背後を狙うポジションではあるので、そこはより一層意識しました」と補足してくれた。
総じて攻撃面については、率直に「いつもと景色こそ違いますが、それはそこまで自分のプレーには関係なかったですね」と明かしている。
小塚にとって今回の右WG起用が特異だったのは、攻撃面よりも、むしろ守備面だったのかもしれない。ここまでは、すべて自身がボールに絡んだ際のプレーの話だ。
景色の変化による影響がより一層顕著になる守備面の話をすると、小塚の口調が変わった。
「シンプルに、今日は全体的にスライドが遅かった。中間ポジションの選手に対しても、誰が行くのかといったところがハッキリしていませんでした。選手の中で、1回やられた時に修正する能力が必要だと思います」
清水の右サイドの守備は、G大阪の攻撃がどの位置からスタートするかによって変化していた。
綻びが見え始めた、後半の清水

右サイドで小塚和季とコンビを組んだ吉田豊【写真:Getty Images】
相手のボックス付近までハイプレスに出る際、小塚は相手の左SB初瀬亮をケア。ミドルゾーンで構えてG大阪の攻撃を受ける場面では、小塚は相手の左SH食野亮太郎、同選手の負傷交代後はウェルトンへのパスコースを遮断する立ち位置を取ることがほとんどだった。
ミドルゾーンで構えた際、中央を締める立ち位置を選択した結果、相手左SBの初瀬が浮くシーンも見られた。この時、小塚は右SB吉田豊に対して、「ここまで出てこい」と言わんばかりのジェスチャーを見せることもあった。
ただし、自陣で吉田が最優先すべきタスクは、相手の左SHの対応だ。こうしたやり方も踏まえ、小塚は中央を締めながら守備をスタート。初瀬にボールが入れば、素早く外へスライドした。
運動量の求められるタスクだが、これは右WGの絶対的主軸である北川も実行していた役割。結果として、前半の45分間、清水の右サイドを破られる場面は少なかった。
だが、後半に入ると、体力面の問題もあって、右サイドの守備に綻びが生じてきた。これは右サイドに限った話ではない。
徐々に全体のスライドが遅れ、相手に使われたくないスペースを与える場面も少なからず見られたからこそ、小塚は自戒の念も込めつつ、重みのある言葉を口にした。