
サッカー日本代表の冨安健洋と吉田麻也【写真:Getty Images】
サッカー日本代表に、冨安健洋が帰ってきた。長らく怪我に悩まされてきたが、2年ぶりに国際Aマッチの舞台で躍動する姿は、これまでの鬱憤を晴らすような迫力があった。1-0で勝利したアイスランド代表との国際親善試合で、自身の復活を証明した。この日共にピッチに立った吉田麻也も、日本の最終ラインを「22番」に託す。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
国際親善試合
日本代表 1-0 アイスランド代表
国立競技場
「ここにいるのが当たり前じゃない」

アイスランド戦に臨むサッカー日本代表【写真:Shinya Tanaka】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)初戦・オランダ代表戦(ダラス)まで2週間。いよいよカウントダウン状態に入ってきた。
こうした中、日本代表は31日夜、本番前最後の国際親善試合となるアイスランド戦に挑んだ。
東京・国立競技場に6万2212人という超満員の大観衆が集結する中、森保一監督はまず吉田麻也の花道を飾るという粋な演出をしてみせた。
国際Aマッチ127試合目のベテランとともに3バックを形成したのが、板倉滉と冨安健洋のアヤックスコンビ。特に冨安に関しては、2024年6月のW杯2次予選・シリア戦以来、約2年ぶりの代表スタメンとなった。
今年1月に加入したアヤックスでは、3月のスパルタ・ロッテルダム戦とフェイエノールト戦に先発しただけで、長時間試合に出るチャンスがないままシーズンを終えているだけに、現在のコンディションは全くの未知数だった。
そういう意味で、彼の一挙手一投足が大いに注目された。千葉合宿合流日の28日、神妙な面持ちでこう語っていた。
「まず長い道のりだったなというところは間違いなくあった。ここにいるのが当たり前じゃないという意識を持って、毎日過ごしたいなと思います」と
アーセナルとの契約解除を自ら選び、半年間の空白期間を経て、ケガから復活を果たした男の本領発揮を、森保監督も選手たちも心から願っていたはずだ。
「『振って枠を外すよりは』と思ったので」

アイスランド戦でプレーする冨安健洋【写真:Shinya Tanaka】
序盤13分間は吉田がプレーする特別なシチュエーションだったため、チーム全体が背番号22を経由して攻撃を組み立てようという意識が強かった。
3バック右に陣取った冨安は右ウイングバック(WB)の堂安律、右シャドーの久保建英らと連係しながら攻撃参加したいという思いは見え隠れしていたが、大胆に攻め上がるのは控えていた様子だ。
それでも徐々にギアアップ。前半最大の見せ場は終了間際のフィニッシュだった。左に流れた久保と伊東純也のワンツーによる崩しから、中村敬斗がペナルティエリア内に侵入する。
ポケットを取り、マイナスクロスを入れたところに飛び込んだのが冨安だった。右足ボレーシュートは惜しくも相手GK正面に飛んでしまった。
「まあ当てるだけというか、とりあえず枠には入れたいという気持ちはあって、ああいう当て方をしたんですけど…。『振って枠を外すよりは』と思ったので」と本人は消化不良感をにじませた。
お膳立てした久保もエールを送る。
冨安健洋が感じた「60分以降」の戦いぶり

飲水タイムの日本代表【写真:Getty Images】
「まあ、シュートは振り抜いてほしかったですけど、ちょっと起きに行っていた部分があったので。本番はばしっと決めてほしいですね」
得点に絡むシーンに関与できるようになってきたことだけでも1つの前進。そこは前向きに捉えたいところだ。
0−0で迎えた後半。森保監督は3枚替えに打って出た。自身と同じように代表から長く遠ざかっていた遠藤航が下がる中、冨安はプレーを続行。高さを生かした相手の攻めに力強く応戦していく。
「60分以降、少し落ちるというか、そういう感覚が僕の中ではあったんですけど」と彼は自身の状態を測りつつ、慎重かつ大胆に歩みを進めていったという。
そして最終的に83分間プレー。83分に谷口彰悟と代わったが、この日の動きを見ると、2年も代表を離れていた選手とは思えないほどイキイキとしていた印象だ。
本人も手ごたえをつかんだ様子を見せており、信じて待ち続けてくれた森保監督を安堵させるリスタートとなったのは間違いない。
「プレー内容ではクオリティのある前の選手たちにアドバンテージが与えられるようなプレーがもっとできればよかったなと思いますし、コンディションのところはもっともっとよくなると思います」
しかもチームもこの直後に決勝点を奪った。