
サッカー日本代表の新キャプテンを務める板倉滉【写真:元川悦子】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)初戦のオランダ代表戦まで残り3日。大一番を目前に控えた日本代表に激震が走った。キャプテンの遠藤航がチームを離脱し、板倉滉が新たに主将を引き継ぐことに。さらに町野修斗の追加招集も決定するなど、驚きの出来事が起きた。
キャプテン離脱…。初戦を前に起こったアクシデント
ベースキャンプ地・ナッシュビルでの11日のトレーニングが冒頭15分間だけ公開された後、日本サッカー協会(JFA)の山本昌邦技術委員長が急遽、メディアを集めて囲み取材を設定。「本日、遠藤航選手がチームをすでに離れました」と衝撃的な報告をした。
「新しいキャプテンに板倉選手が決まり、追加招集メンバーに関しては、町野選手で最終調整を進めて、早ければ(今日の)夕方にこちらに着けるのではないかという報告を受けています」とも説明した。
この日の練習は10時半開始予定で、森保一監督や名波浩コーチらスタッフはいち早くピッチに出ていた一方、定刻を過ぎても選手たちが現れなかった。
そして10分が過ぎた頃、ポツポツと選手が現れ、全体練習は予定より15分遅れてスタート。しかし、その時点からすでに不穏な空気が漂っていた。
「森保さんからは全体ミーティングで航君の離脱が伝えられました。その後、練習前に僕が選手たちに航君の思いを代弁させてもらいました。
もちろん試合3日前というのもあるので、難しい部分はありますけど、ここから気を引き締めてやろうと。より一層の責任と覚悟を持って前に進みましょうと。そういうミーティングでした」と新キャプテンに就任した板倉は力を込めた。
そこから公開された15分間もそれぞれに複雑な感情はあっただろうが、吉田麻也、長友佑都ら年長者が中心となって明るい雰囲気を作ろうとアクションを起こしていた。ボール回しも普段以上に緊張感が高まり、臨戦ムードが高まってきた様子だ。
遠藤という大黒柱がチームを去ったという事実は重いが、彼らは目の前の大舞台を戦い抜かなければいけない。それは誰もがよく理解していること。
12時半に全体練習が終了すると、真っ先に取材ゾーンに出てきた板倉は「今日も非常に集中力が高い練習ができているし、インテンシティもすごく高かった。
もちろん、練習前にそのことを聞いた時はショックだったり、難しい思いもあったと思いますけど、オランダ戦が迫っているので、まずはそこに向かっていこうと。練習を見たら全然問題ないなと感じました」と発言し、全員がいち早く気持ちを切り替えていることを強調した。
板倉とともに、森保監督体制初期からチームの中心を担ってきた堂安律も「3日後に向けて切り替えている? はい、記者のみんなの方が動揺しているんじゃないですか」と冗談交じりに語り、懸命に本番に集中しようとしていた。
それが遠藤の無念さに報いることになるというのをよく理解しているからこそ、貪欲に勝ちに行こうとしているのだ。
練習終了からしばらくして取材エリアに姿を見せた田中碧は、遠藤がSNSを通じて日本代表からの引退を発表したことについて問われると、「僕、それ、さっき見たばっかりだったんですよ。前回のアイスランド戦で45分コンビを組んだのが最後? そんなのは本当に実感してなかったし…」と涙ぐむ様子ものぞかせた。
「でも現時点ではW杯が存在しているんで、そこに向けてやることが大事。ちょっと1回、整理しないといけない部分があるかもしれないですね」と語り、複雑な心境をのぞかせながらも毅然と前を向いた。
遠藤と共闘してきたのは田中だけではない。チームの全員がキャプテンと世界一を目指して戦ってきた日々を心に刻み付け、活力にして、本番で最高のスタートを切らなければならない。
大会直前の激震を乗り越えてこそ、日本代表はベスト8以上という高みに到達できる。今こそ、彼らの底力が試される時だ。
(取材・文:元川悦子)