
チェコ代表に勝利した韓国代表【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループA第1節・韓国代表vsチェコ代表が現地時間11日に行われ、前者が2-1で勝利を収めた。今大会の韓国代表は決して下馬評が高かった訳ではない。後半に先制を許す苦しい展開で、なぜ彼らは逆転勝利を収めることができたのだろうか。(文:安洋一郎)[1/2ページ]
韓国代表がチェコ代表に2-1で勝利
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決勝ゴールを決めた韓国代表FWオ・ヒョンギュ【写真:Getty Images】
「2014年の大会では失敗したが、それまでに積み重ねた多くの経験を基に、今回の大会に向けてしっかりと準備してきた」
韓国代表を率いるホン・ミョンボ監督は、チェコとのW杯初戦に向けた前日記者会見で、「準備」の重要性について多く語った。
最も重要な準備となったのが、開幕3週間前から取り組んだ「高地対策」だ。
グループAに属した韓国代表は、グループリーグ3試合すべてがメキシコ開催(1試合目と2試合目が標高約1600mのグアダラハラ、3試合目が標高約500mで暑さの厳しいモンテレイ)となる。そのため、環境への適応を目的に、標高約1460mのソルトレイクシティで事前キャンプを行った。
また会見では、詳細こそ明かさなかったものの、チェコ戦に向けた「戦略的な準備」にも手応えを感じている様子だった。
こうした準備の成果は、現地時間11日に行われたチェコ戦で発揮されたと言えるだろう。その結果が、2-1の勝利という最高の形で表れた。
もっとも、今大会に向けた韓国代表への期待値は決して高かったわけではない。3月の強化試合でコートジボワール(0-4)とオーストリア(0-1)に完封負けを喫したこともあり、下馬評は低かった。
ただ、チェコ戦で見せた内容は、そうした不安を大きく払拭するものだった。彼らはどのようにしてW杯の初戦で勝利を手繰り寄せたのだろうか。
韓国代表が仕掛けた“揺さぶり”
韓国代表とチェコ代表は、ともに[3-4-2-1]を採用していた。しかし、初期配置からの可変という意味では、それぞれ異なる特徴を持っている。
高さを最大の武器とするチェコ代表は、保持時に右WBのヴラディミール・ツォウファルがWGのような高い位置を取っていた。
右シャドーのルカシュ・プロヴォドが左サイドへ流れることで、チームとして左で数的優位を作り出す。そして、そこから右サイドへ展開し、フリーになったツォウファルがクロスや得意のCK獲得を狙う意図が見て取れた。
一方の韓国代表は、ミラーゲームでマンツーマン気味に守るチェコ代表に対し、横だけでなく、縦方向にも激しいポジションチェンジを繰り返した。
右シャドーに入ったイ・ガンインはボランチ脇まで下がり、相手のマークに一瞬の迷いを生じさせる。たとえマンツーマンで付かれても、個人技で相手を剥がしてから展開したり、背後へのパスを通したりして決定機を演出した。
その代表例が12分のシーンだ。MFファン・インボムからのダイレクトパスを受けると、ファーストタッチで相手MFをかわし、MFイ・ジェソンのランニングを見逃さずに背後へ浮き球の決定的なパスを通した。
ワントップのFWソン・フンミンも、キックオフ直後は裏への抜け出しを狙いながら、前半終了間際には相手3バックの手前でボールを受けて2本のシュートを放つなど、チェコ守備陣を揺さぶるような動きでゴールを狙った。
後半に付け加えたさらなる流動性

チェコ戦で2ゴールに絡んだ韓国代表MFファン・インボム【写真:Getty Images】
積極的にチェコ代表の守備を揺さぶった韓国代表は、前半からオープンプレーでいつゴールを奪っても不思議ではない展開を作っていた。しかし59分、試合の流れとは関係のないロングスローから先制点を許してしまう。
それでも焦らずにボールを保持しながら相手を動かし続けたことが、後の逆転勝利につながった。
62分に左シャドーで先発出場していたMFイ・ジェソンがベンチへ下がると、ボランチのファン・インボムが中央から外へのランニングなど、イ・ジェソンが担っていたような動き出しを見せ始める。3列目から積極的に前線へ顔を出すようになった。
すると、そのアクションを繰り返した直後の67分、相手の右CBと右WBの間に生まれたスペースへ走り込み、下がってボールを受けていたイ・ガンインからパスを引き出してゴール前へ侵入。最後は切り返しから冷静なフィニッシュで同点弾を決めた。
80分には中盤でパス交換を行った後、自ら背後へ抜け出すアクションを起こし、MFペク・スンホからスペースへ送られたパスを折り返す。これを途中出場のFWオ・ヒョンギュが押し込み、決勝点が生まれた。
いずれの場面にも共通していたのは、チェコ代表の中途半端な守備対応だ。
標高約200mの場所でキャンプを行っていた彼らは、高地対策が十分ではなかった影響もあり、時間の経過とともに運動量が低下していた。そのうえ、韓国の選手を人基準で捕まえる守備を敷いていたにもかかわらず、得点シーンでパスの出し手となったイ・ガンインとペク・スンホに十分なプレッシャーをかけられていない。
韓国代表の流動的な中盤への対応策を見いだせないまま試合終盤を迎えてしまったことが、失点シーンに表れたと言えるだろう。
