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スペイン代表が初戦で犯した失態。小国カーボベルデ代表に不覚を取ったデ・ラ・フエンテ監督の限界【北中米W杯分析コラム】

スペイン代表 ルイス・デ・ラ・フエンテ監督
スペイン代表 ルイス・デ・ラ・フエンテ監督【写真:Getty Images】



 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループリーグH第1節、スペイン代表対カーボベルデ代表が現地時間15日に行われ、0-0のスコアレスドローに終わった。優勝候補の一角が、W杯初出場国を相手に勝ち点2を取りこぼした背景には何があったのか。(文・佐藤彰太)[1/2ページ]

ヤマル、ニコ不在が生んだ攻撃の停滞


W杯初戦のカーボベルデ代表戦に臨んだスペイン代表【写真:Getty Images】


 今大会の優勝候補の一角に挙げられるスペイン代表。注目の初戦の相手は、人口約60万人の小国であり、ワールドカップ(W杯)初出場となるカーボベルデ代表。戦前から一方的な試合展開が予想されていた。

 スペイン代表は、ペドリやミケル・オヤルサバルら主力が先発に名を連ねた一方で、チームの攻撃を支える両翼のラミン・ヤマルとニコ・ウィリアムズは揃ってベンチスタート。ともに負傷明けという事情もあり、ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は格下相手の初戦で無理をさせない判断を下した。

 その2人に代わってウイングを任されたのは、いずれもバルセロナに所属するガビとフェラン・トーレス。スペイン代表は主力を温存しながらも十分な戦力を揃え、初戦の勝利を目指した。

 キックオフの笛が鳴ると同時に、スペイン代表はボールを保持し、試合の主導権を掌握した。

 しかし、自陣にブロックを敷いてコンパクトに守るカーボベルデ代表の守備網をなかなか崩すことができず、時間だけが過ぎていった。

 そもそもこの原因は、スタメン選考の段階にあったのではないだろうか。

狙いは最後まで…

スペイン代表 ガビ
スペイン代表MFガビ【写真:Getty Images】


 まずはじめに、ガビとフェランは、ヤマルやニコとは完全に異なるタイプの選手だ。

 スピードやドリブル突破を武器とする両者に対し、ガビの本職は中盤。フェランもウイングでプレーは出来るものの、個の力で局面を打開するタイプではない。

 実際、この試合での両者のスタッツは物足りないものとなった。

『SofaScore』によると、フェランのドリブル成功数は2回中0回。これは本来、彼に期待されるプレーではないのかもしれないが、途中出場したヤマルが約20分間のプレーで4回中2回のドリブル成功を記録したことを考えれば、仕掛けの回数や相手守備に与えた脅威の差は明らかだった。

 また、ガビもシュート数はわずか1本。ドリブル成功数、キーパスの数はいずれもゼロと、攻撃面で大きなインパクトを残すことはできなかった。

 もっとも、この結果を両選手だけの責任とするのは酷だろう。問題は個人のパフォーマンスというよりも、チーム全体の設計にあったように映る。

 スペイン代表は終始ボールを保持しながらも、相手の守備ブロックを揺さぶるための明確な仕掛けを欠いていた。

 デ・ラ・フエンテ監督は、一体どのような形でゴールを奪うことを想定していたのか。その狙いは、最後まで見えてこなかった。

 攻撃の形として一定の再現性が見られたのは、両サイドバックのマルコス・ジョレンテとマルク・ククレジャがポケットへ侵入する動きくらい。それ以外では、ボールを保持する時間こそ長かったものの、連動性や迫力はほとんど感じられなかった。

 世界最高峰の配球能力を持つ選手たちが揃う中盤の強みを十分に活かせないまま、時間だけが過ぎていった印象だ。

あまりにも遅すぎた決断

スペイン代表 ラミン・ヤマル
スペイン代表FWラミン・ヤマル【写真:Getty Images】


 また、前半の時点で攻撃が機能していないことは明らかだったにもかかわらず、後半も同じメンバーで臨んだ判断には疑問が残る。

 ヤマルやニコを無理させたくないというデ・ラ・フエンテ監督の考えは理解できる。しかし、今大会屈指の選手層を誇るスペイン代表であれば、流れを変えられるカードは他にも存在したはずだ。

 ダニ・オルモやアレックス・バエナであれば、攻撃に変化をもたらせた可能性は十分にあったはずだ。さらに、ジェレミ・ピノやビクトル・ムニョスといった勢いのある若手アタッカーもベンチに控えていた。

 それにもかかわらず、本職ではないポジションで窮屈そうにプレーしていたガビや、決定機を仕留め切れずにいたフェランを長時間ピッチに残し続けた。

 そして、ようやく「このままではまずい」と危機感を抱いたのだろう。

 結局、デ・ラ・フエンテ監督は、71分にヤマル、87分にはニコを投入。しかし、その決断はあまりにも遅かったと言わざるを得ない。

 試合の流れを変えられる切り札を抱えながら、その投入のタイミングを見誤った采配は評価しがたい。結果論ではなく、90分を通して振り返っても、指揮官の判断が試合を難しくしたと言われても仕方がない内容だった。

 その結果、カーボベルデ代表に大きな自信を与え、自チームには焦りを生じさせてしまった。

 負傷明けのエースを起用する必要はないという判断でスタートしたにもかかわらず、最終的にはその力に頼らざるを得なかった事実も、ゲームプランの誤算を物語っている。

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