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チュニジアの武器はセットプレー 日本代表が警戒すべきポイントとは【マッチングレポート 前編】

チュニジア代表
サッカーチュニジア代表【写真:Getty Images】



 北中米ワールドカップグループリーグ初戦のスウェーデン戦に敗れ監督が電撃後退したチュニジア代表。近年は深刻な得点力不足にも悩まされており、攻撃面には明確な課題を抱えている。日本代表はどこで優位性を発揮できるのか。日本と各国との相性を盤面の攻防から診断し、日本代表の勝ち筋を探った西部謙司氏の新著『サッカー日本代表 マッチングレポート』より、グループリーグ2戦目のチュニジア戦を占った章を一部抜粋で公開する。前編(文:西部謙司 )

日本[3―4―2―1]対チュニジア[4―1―4―1]

チュニジア代表監督に就任したエルヴェ・ルナール監督
チュニジア代表監督に就任したエルヴェ・ルナール監督【写真:Getty Images】



 チュニジアの基本システムは[4―1―4―1]だが、相手によって5バックや[4―4―2]も使う。

 4バックの場合は右からヤン・ヴァレリー、ディラン・ブロン、モンタサル・タルビ、アリ・アブディ。アンカーにエリス・スキリが入る。

 4バックでも5バックでも中盤底のスキリとセットだ。IHの右がフェルジャニ・サッシ、左がハンニバル・メイブリ。

 この7人はシステムにかかわらず軸になるメンバーである。

 メイブリはフランス育ちの23歳、マンチェスター・ユナイテッドでプロデビューした逸材だ。現在はバーンリーに所属している。

 アンダー世代はフランス代表だったがチュニジア代表を選択した。ライオンの鬣のようなヘアスタイルが特徴。

 精力的に動いてゲームをつくるプレーメーカーで、セットプレーのキッカーを務める。急所を突くスルーパスを出せて、ロングパスの精度も高い。

 このメイブリが左サイド。逆の右はベテラン33歳のサッシが担当。

 186センチの偉丈夫でキープ力があり、戦術眼も確か。攻撃的MFのメイブリに対して、サッシはVOもこなせるタイプで時折見せる前線への飛び出しが攻撃のアクセントになっている。

 2026年1月に行われたアフリカ・ネーションズカップでチュニジアはR16敗退だった。

 初戦こそウガンダに3対0で勝利したが、次のナイジェリア戦は5バックで守備を固めたにもかかわらず先制点を許し、後半に4バックにすると立て続けに失点して0対3。

 75分にフリーキックからタルビのヘッドで1点を返し、87分にPKをアブディが決めたが2対3で敗れている。

 点差は1点ながら、ナイジェリアが3点リードで気を抜いた後の2ゴールで内容的には完敗だった。

 3戦目のタンザニア戦はPKで先行しながら追いつかれての1対1。グループステージは通過できたものの、R16では1対1の末にPK戦敗退。

 25分に退場者を出したマリに対して攻め込みながら1点しか取れなかった。

 チュニジアの弱点は明らかに攻撃力不足である。

 アフリカ・ネーションズカップの4試合で7得点しているが、そのうち2点はPK、フリーキックとコーナーキックで1点ずつ。

 7点中4点が停止球からのゴール。ナイジェリア戦以外は攻勢だったことを考えるとチャンス不足だった。

 左はメイブリが引いて、入れ替わりに左SBアブディが前進する可変をよく使う。

 アブディはPKキッカーを任されている左足のスペシャリストだが、そこまでクロスボールの精度が高いとはいえない。

 右SBのヴァレリーも攻撃力はまずまずながら、やはり特別な武器を持っていない。
 
 一応、右のエリアス・アシュリ、左のエリアス・サードがWGハーフとして仕掛けを担当しているが、ワールドカップ基準で見ればドリブルのキレ、スピードともに平凡の域を出ない。

 191センチの長身の割に軽快に動くCFハゼム・マストゥリにはなかなかいいボールが入ってこなかった。

 つまるところ、セットプレーが最も期待できる得点パターンになっている。

 右足のメイブリ、左足のアブディとキッカーは悪くない。

 タルビとマストゥリがおよそ190センチ、186センチのブロン、サッシ、185センチも3人(ヴァレリー、スキリ、サード)。高さのある選手が7人もいるのが強みである。
 
 攻撃の切り札的な存在になりそうなのが21歳のイスマエル・ガルビだ。

 パリSGでデビューして現在はブラガからアウクスブルクに期限付き移籍している。

 ブンデスリーガでは出場機会がまだ少ないが、チュニジアで最も技術の高いアタッカーだ。このチームでは珍しく小柄で俊敏、アイデアもある。

 アフリカ・ネーションズカップ開幕時点ではレギュラーポジションを確保していなかったが大会中に存在感を増した。日本にとっては要注意人物だろう。

(文:西部謙司)

【著者プロフィール:西部謙司】
1962年9月27日生まれ、東京都出身。現在は千葉市に住み、ジェフユナイテッド千葉のファンを自認し、タグマ版『犬の生活SUPER』を連載中。『フットボリスタ』(ソル・メディア)などにコラムを執筆中。著書に『戦術クロニクル』シリーズ(小社)、『フットボールクラブ哲学図鑑』(同)、『フットボール代表プレースタイル図鑑』(同)、『戦術リストランテ』シリーズ(ソル・メディア)、『教養としてのサッカーと戦術』(エクスナレッジ)など。

<書籍概要>

『サッカー日本代表 マッチングレポート』
西部謙司 著
定価1,980円(本体1,800円+税)

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