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ブラジル代表の武器は弱点にもなり得る?日本代表が見据える王国攻略のポイントとは【北中米W杯注目国分析】

シリーズ:北中米W杯注目国分析 text by 河治良幸 フリーライター photo by Getty Images
ブラジル代表
ブラジル代表【写真:Getty Images】



 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)ラウンド32で、日本代表はブラジル代表と対戦する。カルロ・アンチェロッティ監督のもとで組織力を高めたブラジルは、個の力だけでなく、チームとしての完成度も際立っている。一方で、日本にも攻略の糸口はある。森保ジャパンはブラジルの何を警戒し、どこを突こうとしているのか。(取材・文:河治良幸)[1/1ページ]

アンチェロッティ監督が口にしたブラジルの強み

カルロ・アンチェロッティ監督
ブラジル代表 カルロ・アンチェロッティ監督【写真:Getty Images】


 決勝トーナメント1回戦で日本代表が対戦するブラジル代表は、ここまで優勝候補の一角にふさわしい戦いを見せてきた。

 グループリーグ初戦はモロッコ代表と1-1で引き分けたものの、その後はハイチ代表、スコットランド代表をともに3-0で下し、勝ち点7で首位通過。3試合で7得点1失点と攻守に安定感を示した。

 得点はヴィニシウス・ジュニオールとマテウス・クーニャに集中しているが、それ以上に印象的なのはカルロ・アンチェロッティ監督就任後のチームとしての完成度の高さだ。

  日本戦を前に、アンチェロッティ監督は「全体的に組織力ですね。そして個々の質を活かしながら、チームとしてこの12カ月以上頑張ってきました。そのチームが持っている強さを最大限にしていく」と口にした。

 また、主将のマルキーニョスも「コンパクトになってきている。失点しないという考え方を持つことで成績も良くなってきた」と守備面の成長を強調した。

 個の力だけではなく、組織としても成熟した感のあるブラジルだが、やはりベースになるのは個のタレント力だ。

 小川航基はブラジルの印象について「ヴィニシウス以外にも素晴らしい選手はたくさんいるし、彼だけっていう訳でもないし、全ての選手のクオリティがあるかなと思っている。彼だけを抑えるというイメージは誰も持ってないと思う」と語る。

最も警戒すべき存在はやはり…

ブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオール
ブラジル代表 ヴィニシウス・ジュニオール【写真:Getty Images】


 現在のブラジルはヴィニシウス頼みのチームではない。前線中央のクーニャが「9番」の位置から中盤へ下がって起点となり、そのスペースへウイングやインサイドハーフが飛び込む流動性が最大の武器となっている。

 3バック中央でのスタメンが予想される谷口彰悟も「クーニャが引いて、そのスペースをサイドのウイングが狙ったり、8番の選手が出てきたりとか、その辺はかなり流動的なので、コミュニケーション、受け渡しが重要になる」と警戒を強める。

 一方で、その流動性を備えた攻撃陣の中でも、最も警戒すべき存在はヴィニシウスだ。

 左サイドでボールを持てば、一瞬の加速だけで局面を変え、試合そのものを決めてしまう力を持っている。小川も「攻め残りだったり、そういったところは彼一人で決めてしまう能力がある。リスクマネージメントとかはしっかりやっていきたい」と話し、日本としては攻撃時のリスク管理が重要になると見ている。

 しかし、そのヴィニシウスの存在は、ブラジル最大の武器である一方、日本にとっては攻撃の狙いどころにもなり得る。

日本が狙うべきは…

ブラジル代表 ヴィニシウス
ブラジル代表 ヴィニシウス・ジュニオール【写真:Getty Images】


 小川は「ヴィニシウスは守備できる選手じゃないですし、サボったりが目立つところもあるから。そういうところはウィークだと思うので、突いていけたらと思います」とブラジルの強みにも弱みにもなるポイントを指摘した。

 しかもブラジルは左サイドバックのドグラス・サントスが高い位置まで攻撃参加し、ヴィニシウスも左ワイドの高い位置に残ることが少なくない。

 そのため、日本から見れば右サイドはブラジルの攻撃の起点であると同時に、ボールを奪った瞬間には攻略を狙えるスペースにもなる。

 もちろん、それはブラジルも承知の上でリスクを負っている戦い方だ。しかし、日本が得意とする素早い攻守の切り替えでそのスペースを突き、右サイドからクロスまで持ち込めれば、十分にチャンスを作ることはできる。

 小川は堂安律や伊東純也、菅原由勢など、日本の右サイドから良いクロスが上がってくるシチュエーションを想定しながら「タイミングとポイント、僕がいいポジションを取ることができれば、本当にチャンスはあるし、いいクロスがある選手もいるので。クロスを上げる回数とかは増えるんじゃないかと個人的には思います」と語る。

 ブラジルのセンターバック陣はハイレベルだが、小川はポジショニングとタイミング次第で勝負できると考えている。

 攻撃でも守備でも、ギリギリの戦いが想定されるブラジル戦。もちろん中盤からの展開力に優れるルーカス・パケタや、前を向けば危険な縦パスを出してくるブルーノ・ギマランイス、前線で幅広く動きながら起点となるクーニャ、鋭い仕掛けを武器とする19歳のハイアン、そして真打ちのネイマールと警戒すべきタレントは数多い。

 それでも、ヴィニシウスという絶対的なエースがいることで、日本は対策を立てながら狙い所を共有することができそうだ。

(取材・文:河治良幸)

【著者プロフィール:河治良幸 フリーライター】
東京都出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で日本代表を担当し、プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続ける。セガ『WCFF』の選手プロフィールを担当。著書に『勝負のスイッチ』『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』『サッカー番狂わせ完全読本ジャイアントキリングはキセキじゃない』がある。X:@y_kawaji

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