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今のジュビロ磐田は「上にいる立場じゃない」。川島永嗣が挑む名門再建への使命。W杯を外から見て痛感したチームに必要なこと【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images
ジュビロ磐田GK川島永嗣
ジュビロ磐田GK川島永嗣【写真:元川悦子】



 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)が佳境を迎える一方、日本国内では夏開幕の新シーズンへ向けた準備が本格化している。J1復帰を目指すジュビロ磐田も、秋葉忠宏新監督の下で改革を推し進める最中だ。そんなチームを支えるベテランの川島永嗣は、苦しんだ半年間とW杯を外から見つめた経験を糧に、名門再建への覚悟を口にしている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]

秋葉新監督のもとで進むチーム改革

秋葉忠宏監督
ジュビロ磐田の監督に就任した秋葉忠宏【写真:Getty Images】


 北中米W杯はいよいよ最終盤を迎えつつあるが、日本国内のサッカー界は夏開幕の新シーズンに向けて、Jリーグ各クラブがいち早く始動している。

 1993年の発足時から33年間、「春開幕・冬閉幕」だったJリーグのサイクルが大きく変わるのだから、どのチームにとっても夏場のプレシーズンの過ごし方は難しい。

 欧州にキャンプに出向くチームもあれば、北海道や青森など冷涼な地域でキャンプを張るチームもあって、環境の選択はまちまちだ。

 こうした中、悲願のJ1復帰を目指しているジュビロ磐田は7月3日から14日にかけて沖縄県糸満市で第1次キャンプ実施を決断。酷暑の中、強度の高いトレーニングを繰り返したのだ。

 ご存じの通り、明治安田J2・J3百年構想リーグの磐田はまさかの32位に沈んだ。

 半年間の間に志垣良監督(現セレッソ大阪コーチ)から三浦文丈監督へと指揮官が代わり、その三浦監督もリーグ終了後に退任。2025年まで隣のライバルクラブ・清水エスパルスを率いていた秋葉忠宏監督が新指揮官に就任した。現在は、ゼロからチームを再構築している真っ最中だ。

 秋葉新監督はゴール前でアグレッシブさを押し出すアタッキングフットボールを追求。最終日のザスパ群馬とのトレーニングマッチでも前線のアタッカー陣にハードなハイプレスを求め続けた。

 その成果もあって5−2で勝利。17日から静岡県御前崎市で行われる第2次キャンプに弾みをつけることができた。

 チーム状態を前向きに捉えているのが、大ベテランの川島永嗣である。

「今のジュビロは…」

ジュビロ磐田GK川島永嗣
ジュビロ磐田GK川島永嗣【写真:元川悦子】


「秋葉さんが来て、チームの雰囲気は明るくなっていますね。厳しさを求めるところもあるし、いい方向に行っていると思います」と43歳の守護神はポジティブだ。

 ただ、それが公式戦突入後も継続できなければ意味がない。

 彼自身も「リーグ戦が始まって、試合の結果が伴った中で同じようにやっていかないといけないですね」と強調。さらには「今のジュビロは上にいる立場じゃないし、しっかり足元を見てやるしかない。

『自分たちがうまい』とか『(名門の)ジュビロだから』とかじゃなくて、這い上がっていく気持ちでやっていかないといけないと思います」とチーム全員に言い聞かせるかのように語気を強めたのだ。

 実際、川島は百年構想リーグで角昂志郎とともにキャプテンを務めたが、なかなかチームを浮上させられずに苦しんだ。日本代表や欧州クラブでもどうにもならない経験を数多くしてきたが、この半年間はそれらに匹敵するほどの苦悩の連続だったのではないか。

 そんな苦難のシーズンがひと区切りを迎え、6月のオフ期間は自身が過去4回参戦してきたW杯を外から見ることになった。

 長年の盟友・長友佑都がチームを引っ張り、2022年カタールW杯で共闘した板倉滉や堂安律らが必死になって日本を勝たせようと奮闘する姿を遠くから見守りながら、大ベテランは「個のレベルアップの重要性」を改めて痛感したようだ。

「自チームに目を向けると…」

ジュビロ磐田
明治安田J2・J3百年構想リーグで苦しい戦いが続いたジュビロ磐田【写真:Getty Images】


「今回のW杯は参加国が48に増えた分、ベスト32の決勝トーナメントから始まる難しさがこれまで以上にあるなと感じました。

 日本はそのステージでブラジルに負けたわけですけど、今後はやっぱり1人1人がズバ抜けて行くしかないんじゃないですかね。どこかで個で打開したりする選手はやっぱり必要なんで。

 そういう戦いを踏まえつつ、自チームに目を向けると、1人1人が引っ張っていく部分は非常に大事。それを本当に強く思いました」と川島はしみじみとコメント。磐田も個々が着実に成長し、チームとしてタフに戦える集団へと飛躍を遂げていくことが重要だと考えている様子だ。

 そうなるためにも、各ポジションごとの競争激化は不可欠だろう。ヴィッセル神戸から秋葉監督とともに加入した38歳の元日本代表・乾貴士が目下、ロサンゼルス五輪世代の成長株・川合徳孟と熾烈なトップ下争いにさらされているが、川島も定位置が約束されているわけではない。

 百年構想リーグで川島に次ぐ2番手という位置づけだった三浦龍輝も調子を上げているし、ユース昇格組の中島佳太郎も成長途上にある。

 さらに、このタイミングで浦和レッズで長くプレーしていた牲川歩見も加入。牲川は西川周作の控えに甘んじる時間が長かったが、ピッチに立った時は良いプレーを見せていて、能力は決して低くない。

 その4人を川口能活GKコーチが中心となって冷静かつ公平な目線で見極め、正GKを決めていくわけだが、川島としては年齢に関係なく進化を続けなければならない。そこは本人が強く自覚している点に違いない。

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