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「後ろに光希くんがいるのは頼もしい」熊坂光希が支え、中川敦瑛が前へ。柏レイソル、新ボランチコンビの“共存と競争”【コラム】

シリーズ:コラム text by 高橋大地 photo by Getty Images
熊坂光希 柏レイソル
柏レイソル所属MF熊坂光希【写真:Getty Images】



 昨年、日本代表に初選出されながら、代表活動中に右膝前十字靱帯を断裂した柏レイソルの熊坂光希が、約1年の長期離脱を経て戻ってきた。その間、柏の中盤では中川敦瑛がボランチへとコンバートされ、台頭。8月14日の東京ヴェルディ戦では2人がダブルボランチを組み、それぞれの特徴を生かしながら中盤を支えた。熊坂が後方を支え、中川が前へ出る――。互いを認め合いながら競い合う2人の言葉と、東京V戦で見せたプレーから、柏の中盤に生まれた新たな関係、そして相手の守り方に応じて変化した攻撃の形を探る。(取材・文:高橋大地)[1/3ページ] 

【2026/27明治安田J1リーグ第2節】
2026年8月14日 東京ヴェルディ 1-3 柏レイソル(MUFGスタジアム)

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「また最初から戻る覚悟」熊坂が取り戻しつつあるもの

東京ヴェルディ対柏レイソル
東京ヴェルディ対柏レイソルの模様【写真:Getty Images】


 柏レイソルに、頼もしい男が帰ってきた。

 2025年6月、日本代表に初選出された直後、代表活動中に右膝前十字靱帯を断裂した熊坂光希だ。右肩上がりだったキャリアは突然止まった。

「一番いい時に怪我をしてしまったので、もちろん悔しさもありました。ですが、また最初から戻るという覚悟を持って頑張ってきました」

 約1年に及ぶ長期離脱を経て、百年構想リーグから復帰。8月14日の東京V戦では446日ぶりとなる先発フル出場を果たした。

 熊坂は試合後、「もっともっとできる部分はあると思いますけど、いい状態なのかなと思います」と語る。代表に選出された当時の状態を100とすれば、現在は「9割ぐらい」という自己評価だ。

 その姿を、東京V戦の視察に訪れた日本代表の森保一監督も前向きに受け止めている。

「代表活動中で怪我をするということがあって、そこからプレーできるように復活してもらえたということは嬉しいですね」

 プレーについても、「攻撃では起点になって、守備では相手を潰して、さらに圧力のある攻撃につなげるというプレーがありました」と評価。「しっかり自分のスタイルを発揮している姿もあって、嬉しいと思います」と話した。

 熊坂は確実に、かつての自分を取り戻しつつある。

 ただ、熊坂がピッチを離れていた約1年の間に、柏の中盤も変化していた。

「後ろに光希くんがいるのは頼もしい」2人に生まれた役割分担

柏レイソル 中川敦瑛
柏レイソルの中川敦瑛【写真:Getty Images】


 熊坂不在の間に、新境地を切り開いたのが中川敦瑛だった。

 もともとシャドーなど攻撃的なポジションを主戦場としていた中川は、昨季にボランチへコンバートされて台頭した。

 そして熊坂が復帰した現在、2人をダブルボランチで起用するのが今季の柏のファーストチョイスだ。

 今季からの新コンビだが、2節の東京V戦で早くもお互いの特徴を生かす形が見えてきた。

 中川は「押し込んだときは基本、自分が一個前に入る形なので、後ろに光希くんがいるというのは頼もしいですし、自分と光希くんの関係も90分を通して良かったかなと思うので、もっともっと質を高めてやっていきたいと思います」と説明する。

 熊坂の認識も同じだ。

「やっぱり(中川が)前に行きやすくなるように、自分がしっかり後ろで支えられるようにというのは意識しています」

 中川が一列前へ出て、熊坂が後方に残る。

 この役割分担は、中川の攻撃力を引き出すだけのものではない。

 東京V戦で目を引いたのが、2人のセカンドボールへの反応だった。柏の攻撃が一度跳ね返されても熊坂と中川が素早く回収し、相手に攻撃へ転じる時間を与えず、再び自分たちの攻撃につなげていく。

 とりわけ熊坂は、危険な場所を先回りして埋め、相手のカウンターの芽を摘む。その能力は一級品だ。

 森保監督が「守備では相手を潰して、さらに圧力のある攻撃につなげる」と語ったように、熊坂の守備は相手の前進を止めるだけで終わらない。

 ボールを奪い返し、再び柏が攻撃できる状況をつくる。中川が前へ出た背後を熊坂が管理できることも、2人が並ぶ大きなメリットと言えるだろう。

 もちろん、役割が完全に固定されているわけではない。

 熊坂自身も長短のパスやボール運びで攻撃の起点となれる。一方の中川も、押し込んだ局面で一列前へ入るだけではなく、低い位置から自ら局面を前へ動かす力を持っている。

 異なる特徴を持つからこそ、2人の間には補完関係が生まれている。

「本当にすごい選手」。それでも中川は「負けない」

中川敦瑛 柏レイソル
東京ヴェルディ戦でボールを運ぶ中川敦瑛【写真:Getty Images】


 互いに対する評価も興味深い。

 熊坂は中川について、「やっぱりボールを取られないですし、自陣の深いところから相手陣地まで一人で運べる」と話し、「攻撃に厚みを出せるというのは、彼のすごくいいところ」と評価する。

 一方、中川も熊坂を高く評価している。

「身長もあって、球際も強くて。パスもできるし、運べるし、本当にすごい選手だなと思う」

 だが、そこで終わらない。

「自分もそこに負けないという、いい意味での競争はできていると思うので、それを1年間続けられたらなと思います」

 2人は単なる補完関係ではない。

 ピッチ上では互いの特徴を生かし合う。その一方で、自らのポジションと価値を懸けて競い合っている。

 熊坂が戻ったからといって、中川の立場が元に戻ったわけではない。熊坂が離脱している間に、中川もボランチとして新たな価値を示した。だからこそ現在、異なる特徴を持つ2人を同時に起用するという選択肢が生まれている。

 その“共存と競争”は、今季の柏の中盤を考えるうえで一つのポイントになりそうだ。

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