横浜FC ルキアン【写真:Getty Images】
明治安田J2・J3百年構想リーグではやや物足りない戦いに終わった横浜FCだが、2026/27シーズンのJ2では好スタートを切っている。開幕節でテゲバジャーロ宮崎を1-0で下すと、続くジュビロ磐田戦にも3-1で勝利。再びJ1の舞台へ戻ることを目指すチームは、なぜ開幕から結果を残すことができているのか。選手たちの言葉から浮かび上がるのは、須藤大輔監督のもとで積み上げてきた「継続」と「再現性」だった。(取材・文:ショーン・キャロル)[1/2ページ]
【2026/27明治安田J2リーグ第2節】
8月16日 横浜FC 3-1 ジュビロ磐田
(MUFGスタジアム)
新加入が多いことが良いわけではない

横浜FC ルキアン【写真:Getty Images】
MUFGスタジアム(国立競技場)で行われた磐田戦で、横浜FCは立ち上がりから高い強度と連係を披露した。
ルキアン、横山暁之、そして今季から加入した島村拓弥で構成された前線の3人は、磐田の最終ラインに絶えず脅威を与えた。
柏レイソルから期限付き移籍で加入し、この試合で加入後初ゴールを記録した島村は、開幕2連勝についてこう語っている。
「監督も開幕から『ロケットスタート』というところは言っていたと思います。宮崎さんもそうですし、ジュビロさんもそうですし、決して弱い相手ではないと思いますし、昇格にも絡んでくるような良いチームだと思います。そこにまず2連勝できたというのは良かったです。
でも、まだあと36試合あるので、そこは気を引き締めて、また1試合1試合重ねて闘っていきたいなと思っています」
開幕からわずか2試合。もちろん、この段階でシーズン全体を占うのは早い。
それでも、横浜FCには百年構想リーグから積み重ねてきたものがある。
この試合のメンバー構成を見ても、横浜FCは百年構想リーグからの顔ぶれをほぼそのまま引き継いでいる。一方の磐田は先発に5人の新加入選手が入り、さらにベンチからも3人の新戦力を投入。加えて秋葉忠宏新監督のもとで、新たなチームを作っている段階でもある。
古巣・磐田を相手に前線の基準点として存在感を放ち、島村が獲得したPKを決めて今季初ゴールも記録したルキアンは、横浜FCの強みをこう説明した。
「(百年構想リーグと比べて)お互いよく理解できてプレーできていますし、今シーズンから拓也が加入して、彼も良いところでプレーしているので、お互い良い関係を作りながら良い攻撃ができているかなと自分自身も思っています。
やっぱり新加入の選手が多いことがすべて良いわけではないと思っています。今までやってきたメンバー、それから監督と同じメンバーでやれるということは、ある意味、信頼できている状態から質のところを高めていくという作業ができるので」
大きく入れ替えるのではなく、これまで築いてきた関係性を土台に、その質を高めていく。
百年構想リーグから継続してチームを率いる須藤監督のもとで、選手同士の理解度が深まっていることは、横浜FCの明確なアドバンテージになっている。
須藤大輔監督が目指す「再現される攻撃」

横浜FC 須藤大輔監督【写真:Getty Images】
実際、その兆候は百年構想リーグの終盤から表れていた。
序盤こそ苦戦した横浜FCだったが、最後の8試合は90分間で無敗。そのうち6試合で90分以内に勝利し、ラスト5試合は5連勝を飾った。残る2試合はPK戦に突入し、1勝1敗だった。
そして新シーズンに入っても、その流れを開幕2連勝という形でつないでいる。
ルキアンは、須藤監督が志向する攻撃的なスタイルについてこう語る。
「当然ながら、どのサッカー選手も守備するサッカーはしたくないと思うので、そういった意味では攻撃的な須藤さんのところでやれているサッカーは、みんな必死にトライしています。
もっとより良い攻撃ができるように、再現される攻撃ができるように自分たちもやっていきたいと思っていますし、その上でもっと大きな目標をこのサッカーで取りにいきたいなと思っています」
重要なのは、単に攻撃的であることではない。「再現される攻撃」を作ることだ。
磐田戦では前線3人だけでなく、ウイングバックの新保海鈴と村田透馬も積極的に攻撃へ関与。中盤では高江麗央と山田康太が土台となり、チームに安定感をもたらした。
5万3973人が詰めかけたスタジアムで、28分に鮮やかなFKを決めて先制点を奪った高江は、チーム全体のプレーについて振り返っている。
「みんな自信を持ってできていたので、冷静にしっかりやれていました。試合前から『ビビらずに自分たちのやることをやって、ボールをしっかり持ってやっていこう』というのを言っていたので、それを全員でしっかりできたのではないかと思います」
もっとも、ボールを持つことだけでJ2を勝ち抜けるわけではない。
高江も、そこは理解している。
「自分たちのプレースタイルとしてはボールを保持していくところですけど、J2は強度も高いですし、そういう前提として走ったり、球際のところを負けないことが必要になってくる」
ボールを保持するために、まず走る。球際で負けない。その土台があって初めて、自分たちの技術や連係を生かすことができる。
磐田戦の横浜FCには、そうしたJ2を戦い抜く上で不可欠な強度と、自分たちが目指すサッカーを両立させようとする姿勢が見えた。
磐田が不満を残した2つの判定

判定に不満を募らせるジュビロ磐田 乾貴士【写真:Getty Images】
一方で、磐田にとっては判定に不満を残す場面もあった。
その一つが、ダニーロと島村が競り合った場面で横浜FCに与えられたPKだ。また、後半アディショナルタイムに藤原健介が放ったFKは、ボールがゴールラインを越えていたようにも見える非常に際どい場面だった。
最初のPKについて、IFABの競技規則第12条「ファウルと不正行為」では、守備側競技者がペナルティーエリアの外で相手競技者を押さえ始め、そのままエリア内でも押さえ続けた場合、PKを与えることが定められている。
したがって、ダニーロによるホールディングがペナルティーエリア内まで継続していたと判断されたのであれば、PKという判定は競技規則に沿ったものとなる。
藤原のFKについては、実際にゴールラインを越えていた可能性もある。ただ、VARやゴールラインテクノロジーによる確認ができない状況で、あの一瞬を正確に判定することは極めて難しい。
ただし、こうした判定だけで試合全体を説明するのも適切ではないだろう。
横浜FCは多くの時間帯でチームとしての連係を保ち、前線から最終ラインまでが一体となってプレーしていた。その完成度という点では、試合を通して横浜FCが上回っていた。