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アジア 10年前

就任はなんと開幕1週間前。弱冠29歳、タイプレミアリーグで奮闘する日本人GM

text by 長沢正博 photo by Masahiro Ngasawa

タイでの仕事を始めて早々チームが苦境に

就任はなんと開幕1週間前。弱冠29歳、タイプレミアリーグで奮闘する日本人GM
チェンライ・ユナイテッド。後列左端は村上一樹選手【写真:長沢正博】

「スタジアムを建てばかりだったので、どんなことができるのか、ビジョンを教えてほしいと言われました。それでエッセイを3ページくらい書いたんですけど、その反応も遅かったです。もう諦めかけたころに連絡が来て、オーナーとスカイプで話しをすることになりました。そこからは話がどんどん動いて、最終的に決まったのが3月のシーズン開幕の1週間くらい前でした」

 オーナー含めスタッフは皆英語が話せるため、言語の問題はない。ただ、具体的な職務内容を聞いてもはっきりとした答えが返ってこないなど、苦労は絶えなかった。さらにチームは昨シーズン、開幕から勝ち星になかなか恵まれなかった。初勝利は第11節と苦しみ、最終的に11位でリーグ戦を終えたものの、シーズン中に監督が3人交代した。

「CEO一人ではとても仕事が回らず、彼をサポートしながら、監督や選手の選出までやりました。最初はビジネス・ディベロップメントという形で入ったんですけど、肩書とかは関係なく、何でもやっていました。

 スタッフの人数が少ないということもあって、やらざるをえなかった。入ってみて、タイ人にないアイデアといった、新しいものを導入することを期待して呼ばれたのかなと感じています」

 チェンライ・ユナイテッドには鈴木氏のほかに、チーム2年目となる村上一樹、今季加入した元名古屋グランパスの杉本恵太、さらにフィジカルトレーナーにも日本人を配置している。ただ、鈴木氏自身は特に日本人を集めて、という風には考えておらず「国際色豊かなチームの方が良いと思っています」と話す。

 去年からスタートしたアカデミー(U-12・U-14・U-16・U-18)のディレクターはオランダ人。コーチにもアイルランド人、オランダ人、ブラジル人がいる。「チェンライはいろいろな国のものをミックスさせた方が良い化学反応が起こるのでは」と話す一方で、「意志の疎通という点では、同じ日本人の方がより理解できる」とも語る。

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