内田篤人の流儀―内田篤人が海外のクラブで成功を収めた理由(後編)【フットボールサミット第9回】

『ドイツで貫く確固たるスタイル』
2010年、ブンデスリーガ・シャルケ04に加入し、3シーズン目を迎える内田篤人。彼が強豪クラブで培い、得たものとは何か。その軌跡を追うとともに、ドイツにおける内田の流儀に迫っていく。

2012年12月19日(Wed)17時20分配信

text by 編集部 photo Ryota Harada
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確固たる自らのスタイルを持つ、内田篤人【写真:原田亮太】

【前編から続く】

オフ・ザ・ピッチでの日課

 オフ・ザ・ピッチでも、チームのために内田が日課としていることがある。練習や試合のあと、内田はチームの荷物を持ってピッチを離れるのだ。あるときは、ケガ人の治療をするための救急箱、またあるときはチームが使うボールの入ったケース。これらはチームのスタッフだけでは人手が足りないからこそ、内田が率先して手伝っている。

 ドイツにきてから三年目となる今でこそ、周囲で話されているドイツ語はかなり理解できるようになった。

 とはいえ、未だ自らドイツ語を話して何かを伝えるのはあまり得意ではない。だからこそ、ともすれば、内田は一体何を考えているのか周囲の人間から不審に思われてしまいがちだ。そんな状況にあって、雨の日も雪の日も内田は後片付けの手伝いをやめることはない。そんな一貫した姿勢が選手だけでなく、チームを陰で支えるスタッフからも好評を得ている。そうした評価は、内田がシャルケで活躍することを確実に後押ししている。

内田が繰り返したプレーにある意図とは?

 内田はまた、言葉が通じないことを逆手にとってピッチの上で理想とするプレーを仲間と共有している。

 それはシャルケに加入してから間もないころのことだった。内田が前方へとパスを出す。しかし、味方の選手はボールに追いつけずにラインを割ってしまった。そのとき、味方選手は内田に対して何やら指示をしていた。言葉の内容こそ理解することはできなかったのだが、他のタイミング、あるいは他のコースにボールを出して欲しいという趣旨の指示であることは内田にも理解することが出来た。

 しばらくして、再び内田のもとにボールが渡る。ここで内田がとった行動とは、先ほどと全く同じコースに、同じスピードのパスを出したのだった。内田に対して指示を出してきた選手は、またもやボールに追いつくことは出来なかった。内田はこのとき、それでいいと思ったと、のちに話していた。

 そして、三度、同じようなシチュエーションで内田にボールが回ってきた。内田は過去二回と同じようなタイミングで、同じようなコースにパスを出した。すると、今度は味方がしっかりとそのパスに追いつくことが出来たのだ。このプレーにある意図とは、どのようなものだったのか。

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