異端の天才 金田喜稔の「超常識」(後編)

2012年12月21日(Fri)19時06分配信

text by 海江田哲朗 photo Kenzaburo Matsuoka
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世界で外国人と向き合ったら、どうせ利き足でしか触れない

──日産からはプロの誘いがあったのに、アマチュア契約にこだわったそうですが、どうしてですか?

「引退後はサラリーマンとしてバリバリ仕事をしたかった。その頃の愛読書は源氏鶏太のサラリーマン小説よ。ところがJリーグが始まり解説者の仕事が入るようになって、掛け持ちでは周りに迷惑をかけるから、結局辞めることになった。人事に10年、総務に2年半か。それならプロになってちょっとでもお金を稼いどけばいいのにと自分で思った(笑)」

──代表最年少ゴール記録の件はさておき、現在金田さんが注目しているアタッカーについて聞かせてください。

「海外でレギュラーを獲得し、異文化の中で勝負している人は全員認めているし、尊敬している。自分には到底真似できなかったことからだね。今のJリーグだと……清武(弘嗣)は面白い。自分から仕掛けている。最低限の規律を守り、かつ特長を出すのがプロ。彼はそれができている。永井(謙佑/名古屋グランパス)には足の運び方を教えてやりたいな。期待はしているよ。あのスピードは魅力やもん。ただ、あそこから上に行くのは大変。東(慶悟/大宮アルディージャ)は好き。あれも面白い」


最低限の規律を守り、かつ特長を出すのがプロ(写真は清武弘嗣)【写真:松岡健三郎】

──優れたアタッカーの条件は?

「最も抵抗を受けるアタッキングサードで勝負する奴は、技術、スピード、インテリジェンス、気持ち。これらを持ってないと世界では通用しない。より細かいことを言えば、ファーストタッチを利き足の前にコントロールできる選手しか世界では生き残れない。下手な選手はボールの置き場所が安定しない。すると、調子が悪いときに戻れる場所がなくなるんです。

 若い年代の指導者は両足を使えるようになれと言うけれど、世界で外国人と向き合ったらどうせ利き足でしかボールに触れない。怖いからね。現役時代、俺ほど両足を器用に使える選手はほかにいないと言われていた。その俺が結局は利き足だと言うんだよ。まあ、アヤ(宮間あや)には負けますがね。小学生の頃から知っているけど、あの子は完璧主義者で、だから左足を蹴られるようになった。あんな左足がうまい右利きの子はおらん」

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