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マラガが告げるリーガ2強時代の終焉!?(後編)

『金満オーナー アル・タニが画策するスペインサッカー改革』
2010年6月、リーガエスパニョーラのマラガが中東の王族に買収された。オーナーのアル・タニは、多くの資金を投下して急速にチームの強化を図ったが、給与遅配などの問題を抱えてUEFAの中でも苦しい立場に立たされている。現地の記者はこの買収劇をどのように報じていたのだろうか。翻訳:小澤一郎

text by カルロス・カリーニョ photo by Kaz Photography

【前編はこちらから】 | 【欧州サッカー批評5】掲載

ポゼッションサッカーを志向するマラガ

 リーベル・プレート、ビジャレアルでの成功からもわかる通り、ペジェグリーニはポゼッション重視のサッカーを志向する。レアル・マドリーでは、1シーズンのみで解任の憂き目にあったものの、ペジェグリーニ自身が「リーガで勝ち点96を奪ったことはクラブ史に残る快挙」と語る通り、ピッチ上ではそれ相応の結果を出している。

 マラガにおいてもペジェグリーニの志向するサッカーは不変だ。加入して1年、2年の選手が大多数を占める寄せ集めチームであるが故に、現在進行形でチームとしてのベース作りを行っているマラガではあるが、徐々にペジェグリーニらしいサッカーを実践できる時間帯や試合も増えてきている。

 マラガはNGOとして最も権威ある団体の一つユネスコと2011年夏にパートナーシップ契約で合意に達しており、ユニフォームの胸に「UNESCO」のロゴをつけてプレーしている。マラガの試合は中東最大のTV局で1億2000万人もの視聴者を持つと言われるアル・ジャジーラでほぼ毎試合中継されており、2月29日にエジプトで行われる予定の親善試合ではクラブに30万ユーロの興行収入が入ることになる。

 今やマラガは世界的スター選手を獲得できるビッグクラブの仲間入りをするクラブと見られ、当然のように世界中のメディアが「マラガがあの選手の獲得を狙う」という報道をしている。すでにこの冬の移籍報道では、フェルナンド・トーレス(チェルシー)、ディエゴ・フォルラン、スナイデル(共にインテル)といったビッグネーム獲得の噂が取り沙汰されている。更に、「メッシ獲得に向けてアル・タニが1億5000万ユーロの補強予算を確保」といった噂も地元でまことしやかに囁かれている。

 チームとしてまだまだ本領発揮とはいっていないマラガだが、今季大きな成長を見せる若手選手がいる。それがバレンシアから移籍してきたイスコだ。マラガのベナルマデナ出身のイスコは、バレンシアのカンテラで育ち、今やデル・ボスケ監督率いるスペイン代表の招集リストに名を連ねている。


700万ユーロの移籍金で加入したイスコ【写真:Kaz Photography】

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