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育成年代の頂点・インカレ決勝に見る大学サッカーの存在意義とは?(後編)

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto

福岡大キャプテン牟田が語る大学サッカーへの思い


福岡大キャプテン牟田雄祐【写真:後藤勝】

「あそこを目標にやっています。上の世界を見ているからこそいまの自分の実力と、これからなっていく自分に……なんと言っていいのかわからないですけど、もっともっと成長しないといけないと思っていますが、やれていない。乾先生のおかげで自分はここまで来れたと思っていますし、最後は胴上げして終わりたかった。先生の期待に応えられなくて、すごく残念です。

 まだまだ甘かった。特に慌てた感じはありませんでした。しかし結果的に3-1で負け、力が足りなかったのだと思います。自分自身、今日の一戦にかける思いがありました。この四年間、優勝するためにやってきて、自分の力のなさ、力不足というか……。自分の力を出しきることも自分の実力のうちです。苦しいことを乗り越えてやってきましたが、自分自身に不甲斐なく思っています。これがいまの実力だと思う。

 自分たちは一年生のときに悔しい思いをしました(2009年に第58回インカレ決勝で敗退)。その借りを返し、ここで、笑顔で終わるために四年間やってきて。今年はキャプテンを任され、九州のタイトルを獲ってこの舞台までやってきましたけど、これで満足してもしょうがないですし……。現実にはこの舞台で二度も負けている。勝てなかったこと、力を出せなかったこと……いまさら何を言っても遅いですけど、ここからがんばるしかないと思います」(牟田)

 両親には準優勝の銀メダルを渡したという。いつか金メダルを獲ると約束し、それまで預かっておいてくれるようにと。

 そう、インカレが終わった以上、悔やんでも仕方がない。もう大学サッカーでの活動はおしまい。異なるカテゴリーで雪辱を果たすしかない。

「大学まで22年間いろいろなことがありましたけど、両親は支えになってくれた。人生は長いのでいつか金を渡せるように、それを胸にがんばりたい。たくさんの路があるなかでサッカー選手もひとつの就職先だと思います。しかしほんとうに厳しい世界ですし、一日一日が勝負。いまの自分の実力では何も通用するものはないと思っている。やるしかないと思います。名古屋ではいまの自分の実力では通用しない。これまでの評価は関係ない。厳しい世界に入って自分がしっかり戦えるように腹をくくってがんばりたい」(牟田)

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