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日本代表 11年前

ザッケローニの3-4-3は日本の武器になり得るのか?(第4回)

第1回、第2回では、3バックを再考するとともに、代表的な「3-4-3」の実例を検証した。最終回となる今回は、「3-4-3」を代表で完成させる難しさと、選手たちに求められる能力について考えていく。

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

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3-4-3を代表で完成させる難しさ

 3-4-3の完成度を高めていくにあたり、ネックになってくるのが代表チームのスケジュールだ。「普通のチームだったら合宿含めて準備期間とか2ヶ月くらいあって、その中で監督のやりたいチームを作っていくという準備期間があるけど、やっぱり代表チームはなかなか集まれない」(長谷部)。代表選手を確実に招集できるのは“国際Aマッチデー”と呼ばれる試合の前後に限られる。

 11年は合計16試合(チャリティマッチが1試合)が組まれたが、アジアカップが行われた1月を除くと、1ヶ月に1試合あるか無いかという頻度であり、2試合を続けて行うケースも多いため、代表戦の無い月が4ヶ月間もある。それぞれの試合に向け、なかなか十分な準備期間も取れない中、集まって最初の2日間ほどはコンディショニングがメインになるため、紅白戦などを随時入れていくことも難しい。

 しかも、招集されるメンバーも毎回、何人かは入れ替わっている。普段から慣れないフォーメーションの場合、頭で理解は進んでも、体の感覚や味方とのイメージの共有を向上させるのは容易ではない。「練習の時はハメ込んでやっているけど、紅白戦が始まると全部が全部ハマるわけではないから」(中村憲剛)。3-4-3は高度な組織と連動が基本となる上に、刻一刻と変わる状況の中で、素早い判断や応用力が求められるのだ。

 ベトナム戦の前半を見ても、サイドで守備を行う場合、セオリーなら全体をコンパクトにスライドしてウィング、SH、CBで挟み込む形を取るが、CBがゴール前で相手FWをマークしたままになり、SHが個人でウィングに付くような状態に。また相手が4-2-3-1の場合、CB3枚が1トップを見る形になり、逆に手前のトップ下をフリーにしてしまう場面が少なくない。

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