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イブラヒモビッチ欠場の影響はあるか? ~欧州CL・ベスト16の見所~

text by 植田路生 photo by Kazuhito Yamada

守備面を考えればプラスに?!

 PSGの基本布陣は4-4-2。ボランチにマチュイディとベラッティ(モッタはケガで離脱中)、右MFはブラジルの至宝ルーカス、左MFにはラベッシもしくはパストーレを置き、前線はイブラヒモビッチとメネズ(あるいはガメイロ)。これが今季のオーソドックスな形だ。

 イブラ抜きとなった場合は、オプションとして持っている4-3-3で臨む可能性もある。だが、アンチェロッティは奇抜な戦術をあまり使用しない。また、スコア上は優位にあるため自分たちから積極的に仕掛ける必要もない。普段の戦い方からそこまで崩しはしないだろう。

 リーグ戦では時折用いていた4-3-3では、イブラヒモビッチを欠いた中でも遜色のないプレーを見せていたが、3MFの一角を担うシャントームの調子は最近よろしくない。また、電撃的な加入後、セントラルMFで起用されることが多いベッカムは、90分プレーできるのかどうか微妙な状態だ。

 2日のスタッド・ランス戦では、右足のクロスは錆びついていないものの、試合勘が鈍っているのか、簡単にボールロストする場面もあった。試合を締めるために後半途中から投入され、そのときにフォーメーションを変更する、ということであれば考えられる。

 フォーメーションを変えない場合は、左MFにはパストーレ、ラベッシを1つ上げてメネズと2トップを組ませる。ターゲットはなくなったが、ラベッシとメネズは運動量が豊富で前線からのプレスもしっかりとこなせる。守備面を考えれば、かえってプラスに働くかもしれない。

 チャンピオンズリーグをこの先勝ち抜いていくことを考えれば、イブラヒモビッチという強烈な個性は欠くことができない存在だ。だが、初戦で見せたようにチームにあらぬ混乱を招く可能性もある。バレンシア戦で必要なのは劇的な勝利ではなく、確実な突破条件。

 萎縮するほどの大きすぎるトリックスターがいないことで、選手たちはむしろのびのびと任務を遂行できるのではないか。そう考えると、イブラ欠場の影響は皆無と言っていいだろう。

【了】

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