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『決定力不足』という言い訳にサヨナラを ~決定力を個人技頼みにしないための戦術的アプローチ~(前編)

text by 清水英斗 photo by Kazuhito Yamada

[決定力不足の要因1]ボールへの集中が足りない

『決定力不足』という言い訳にサヨナラを ~決定力を個人技頼みにしないための戦術的アプローチ~
【写真:山田一仁】

 まずは技術的なアプローチだ。デルピエロやルーニーのようなワールドクラスのストライカーは、シュートを打つときにゴールやGKを見ない。もちろん、広大なスペースでGKと1対1を迎える場面は別だが、通常はボールだけを見て、ボールに100パーセントの意識を集中させてシュートを打つという。ゴールの位置は、間接視野に入ってくるラインの位置などから感覚的に把握する。

 ゴール前は相手の激しいディフェンスにより、時間とスペースが限られるエリアだ。相手に囲まれたり寄せられたりした状況で、いかに自分の中に余裕を作ってシュートを打てるか。それがシュート精度を左右する要素になる。

 テレビの解説などを聞いていると「GKの位置を冷静に見てシュートを打ちましたね」と褒め称えることが多いが、それはあくまでシュートを打つ選手に十分な余裕が与えられたビッグチャンスのみだ。時間やスペースが限られているゴール前では、ボールに集中することが大前提であり、あまりいろいろなことを考えてプレーするのは好ましくない。

 ゴールの位置を確認して、GKの位置を見て、ボールを見て……といった具合にシュートモーションが忙しくなると、余裕を欠いてキックのミートが甘くなることが多い。

 一方、デルピエロやルーニーのミートが甘くなり、ヘナチョコシュートを打つシーンはなかなかお目にかかれない。それはボールに意識を集中するという、当たり前のことを実践しているのが要因の1つだろう。このようなシュートに対する細かな意識の違いが、決定力の差となって表れる。

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