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【名将インタビュー】サム・アラダイス ~ポゼッションを破壊する揺るぎないロングボール戦術~(後編)

text by 藤井重隆 By Shigetaka Fujii photo by Kazuhito Yamada

選手を再生させる手腕も高い

 アラダイスは全盛期を過ぎた選手や不振に喘ぐ選手を安値で獲得し、再生させる事でも有名である。新チームを率いる上での大事な要素として、「新チームでは、必ず信頼できる人選から始めなくてはならない。それを見極めるのも難しい仕事の一つだ」と話す。

ノーラン
ケヴィン・ノーラン【写真:山田一仁】

 現に、ウェストハムでも就任後に補強した選手の中には、古巣のボルトンとニューカッスルで指揮したイングランド人MFノーラン(30)をはじめ、ボルトン時代に育てた愛弟子のアイルランド代表MFオブライエン(26)やポルトガル人MFバステ(26)、元フィンランド代表GKヤースケライネン(37)らがおり、チームの主柱に据えている。

 中でも、長年にわたって師弟関係を築いているノーランに至っては、ボルトンから監督を追うようにしてニューカッスルへ移籍した時と同様、ウェストハムにもチーム主将として引き抜かれた。言わば監督の哲学を体現する屋台骨的選手。そんなノーランについてアラダイスはこう語る。

「彼は常に100%の力でプレーしてくれるワールドクラスの選手であり、イングランド代表に入ってもおかしくない。私はボルトンとニューカッスルでも指揮した彼をウェストハムにも連れてきた。彼は真のリーダーであるし、チームの雰囲気を変え、刺激を与える事ができる。彼は私の代弁者でもあり、選手たちの代弁者でもある。私の監督キャリアにおいて最も重要な選手だ」

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