再確認した4つのセオリー
「連戦ということは関係なく、勝つメンバーを選びたい」と語った長谷川監督は、思い切りの良いシュート力を持つ阿部浩之をFWで起用した。開幕当初は右のワイドで起用されてきた阿部だが、適性ポジションはシューターとしての力を最大限に発揮出来る相手ゴール前だ。
開始早々から5バックで、前線の2シャドーまでもがG大阪の両SBをきっちりケアする極端な守備戦術に走ってきた岐阜に対して長谷川采配が的中する。鳥取同様、明らかにモチベーションが高い岐阜の人海戦術を阿部がこじ開け23分に先制ゴールを叩き込んだ。
「結果を出せて良かった」と冷静に蹴り込んだ背番号13も見事だったが、鳥取戦後のミーティングで長谷川監督は引いた相手に対するセオリーを選手たちに再確認していた。
そのセオリーとは4項目。【1】ミドルシュート、【2】サイドからの崩し、【3】ワンタッチプレー、【4】自らの仕掛け――。家長昭博のダイレクトヒールから倉田秋が相手を引きつけて絶妙のラストパスでお膳立てしていた。
G大阪相手に、引き分ければ御の字の岐阜である。極端な守備戦術と表現したが、現実的な戦い方だったのは間違いない。服部年宏も「間違いなく地力の差はかなりある。普通に組み合えば4対0、5対0でやられていた」と語る。
先制されても気持ちを切らさないアウェイチーム相手に、攻め急がないのは岩下敬輔を欠くとはいえ、今季は「1対0」をゲームプランにしうる余裕の現れか。やはり服部は「思った以上にガンバががむしゃらに2点目、3点目を取りに来た感じではなかった」と振り返る。
71分には指揮官が求めたミドルシュートで遠藤がポスト直撃の決定機を演出。終了間際には途中出場の二川孝広を起点にサイドから揺さぶり、平井将生がダメ押し点を叩き込んだ。
「ザ・J2」とでもいうべき2試合で勝ち点4を積み上げ、神戸戦の結果次第では今季初の首位浮上も見えてきた。次なる戦いは、ガップリ四つの組み合いになるはずだ。
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