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ブラジル時代のカズを追って ~サッカー王国での7年半を知る人々の回想録~(後編)

text by 沢田啓明 photo by Hiroaki Sawada

「ぜひ、2014年ワールドカップに出場してほしい」――パウミーロ元会長

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キンゼ・デ・ジャウーのクラブハウス前に立つプレート

 44歳にしてまだ現役を続けていることについて、取材に応じてくれた人々は「素晴らしい」と口を揃える。

 キンゼ・デ・ジャウーのジョゼ・アントニオ現会長は、「ぜひともキンゼ・デ・ジャウーで現役を終えてほしい。その後は、自分を継いでクラブの会長を務めてもらいたい」と熱烈なラブコールを送る。

 カメラマンの西山幸之氏は、「ブラジル時代から、カズの夢はブラジルサッカーの聖地マラカナン・スタジアムでプレーすることとワールドカップに出場することだった。2014年ワールドカップの日本代表に選ばれたら、その二つの夢が同時にかなう」と期待する。

 この言葉をパウミーロ氏に伝えたところ、大きくうなづいた。

「1998年ワールドカップの直前、カズが登録メンバーから外されたと知らされたときは、自分の耳を疑った。それが事実とわかると、強い怒りを覚えた。長年に渡ってあれほど日本サッカーに貢献してきた男が、あのような仕打ちを受けていいはずがない。

 カズには、まだまだ現役を続けてほしい。そして日本代表に復帰して、2014年ワールドカップに出場してほしい。彼が第二の母国ブラジルで行なわれるワールドカップに出場することになれば、日本中が大騒ぎになるだろう。しかし、それ以上にブラジルをはじめ世界各国で大きな話題となる。

 彼の豊富な経験は、若い選手たちに計り知れないプラスをもたらす。47歳の選手をワールドカップに出場させろというのは、非常識に思えるかもしれない。彼に対して特別な贈り物を要求していることになるかもしれない。でも、カズには、世界中でカズだけには、その贈り物を受け取る資格がある。なぜなら、これまで彼は日本サッカー界に対してそれを上回る贈り物を与えてきたからだ」

 このパウミーロ氏の言葉を一笑に付すことができる人が、はたしているだろうか。

【了】

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