フットボールチャンネル

長友佑都が語るW杯までの課題「個の力を高めないと世界では破られてしまう」

text by 元川悦子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「ワールドカップで目指す方向性が見えてきた」

「10月と比べてむしろ差が開いていた。向こうも本気でこれが本物の世界のトップレベルなんだと感じた。僕は『優勝を目指す』と言ってきたけど、腹を抱えて笑われるくらいだった。自分とダニエウ・アウベスなんか中学生とプロ。そのくらい違ってました」と自虐的に語ったほどだ。

 それでも「1対1を仕掛ければやれるなとは思ったし、超えられない壁ではなかった。1年であそこにたどり着けるかは全て僕らの努力次第。本当にトップ目指して向上心や貪欲な気持ちを持たないと難しい」と彼は自らに言い聞かせていた。

20130626_nagatomo_yamada
イタリア戦では積極的にチャレンジ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 衝撃的な敗戦が負けじ魂に火をつけたのだろう。3シーズンプレーし、日本代表の誰よりも熟知するイタリアとの対戦ではとにかく積極的にチャレンジして勝ちにいった。2-0から2-3にされ、同点に追いつきながら、最終的にジョビンコに決勝点を奪われ惜敗した壮絶な一戦を、長友は極めて前向きに捉えていた。

「内容的にもイタリアより上回ってますし、僕らがワールドカップで目指す方向性が見えてきたかなと。こういう戦い方をすれば、強豪相手でも戦えると思うんですよね。イタリアに『日本は強い』『成長した』ってところを見せたかった。

 試合が終わって向こうの1人ひとりと握手した時、『ホントに素晴らしいチームだ』『強かった』と言ってくれて、素直に嬉しかった。こういう試合をしたからこそ、やっと悔しい気持ちが出てきました。

 ブラジル戦の時は正直、悔しさも湧いてこなかった。何もやれなかったし、チャレンジもできなかった。あの後、選手でミーティングをして意見を出し合ったのが、この内容につながったと思いますね」

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top