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連載コラム 11年前

カズ、そしてキングファーザーのブラジル――第1回、わかりにくいリーグ構成の謎

text by 田崎健太 photo by Kenta Tazaki

一年中休みのない国内リーグ

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【写真:田崎健太】

 話を大会システムに戻そう。

 この州選手権の他、全国選手権――Campeonato Brasileiro(カンペオナート・ブラジレイロ)がある。これもセリエA、B、C、Dと四部制となっている。この区分は州選手権のリーグとは連動しておらず、現在のパルメイラスのようにサンパウロ州選手権では一部、全国選手権では二部ということが起こりうる。

 この全国選手権にサンパウロ、リオ州以外のクラブは特に力を入れる。ヒオ・グランジ・ド・スール州のグレミオ、インテルナシオナル、ミナスジェライス州のアトレチコ・ミネイロ、かつて三浦知良が名前を挙げたパラナ州のクリチーバなどである。こうしたクラブは州では常に上位を確保し、サンパウロやリオの著名クラブとの対戦を心待ちにしているのだ。

 そしてさらに、全国制のカップ戦『コパ・ブラジル』(ブラジル・カップ)があり、国内大会に加えて、リベルタドーレス杯などの国際大会が加わる。こうした大会が期間をずらして行われているのだ。大会システム、時に呼称もしばしば変更されるため、他の国から見ると非常にわかりにくい。

 大会の時期も統一されていない。通常、W杯期間中は国内リーグは休止となる。しかし、代表選手を出していない地方のクラブにとってW杯は関係ない。そのため、州リーグを行っていることがある。ブラジルでは年中どこかでサッカーを見ることが出来るというのは事実である。

 若手選手は試合経験を積むことで成長する。この重層的で試合数が多いシステムが、個性ある有能な選手を次々と産み出す要因となっている。

【第2回へ続く】

『ザ・キングファーザー』
定価1,680円(税込)

田崎健太:著
誰も知らない、誰も描けなかった
三浦知良の父、納谷宣雄の半生

カズを誰よりも愛し、
カズをキングにした男の
濃厚過ぎる半生を描いたノンフィクション。

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