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連載コラム 11年前

カズ、そしてキングファーザーのブラジル――第1回、わかりにくいリーグ構成の謎

text by 田崎健太 photo by Kenta Tazaki

州の力が強いブラジル

 フッチボウを語る上で、ブラジル国土の広大さに触れなければならない。

 ブラジルの面積は8,516,000平方キロメートル、日本の約23倍に当たる。サンパウロ州だけでも日本とほぼ同じ面積がある。そして、そしてサンパウロ州はほぼ平地であるため、体感的には日本よりもずっと広い。

 州制度をとっているブラジルは、日本よりも地方に行政権限が移譲されている。当然、その影響はサッカーの大会システムにも及ぶ。

 サンパウロ州、リオ・デ・ジャネイロ州の場合、まず重要なのは州内のクラブで戦われる州選手権である。

 サンパウロ州選手権――Campeonato Paulista(カンペオナート・パウリスタ)は一部リーグ『セリエA1』を頂点に、A2、A3、Bと四部制、リーグ間には成績に応じて、降格、昇格がある。

 A1には、サンパウロ州で最も人気のあるコリンチャンス、サンパウロFC、パルメイラス、そして三浦知良が所属していたサントスFCなどが所属している。

 ちなみに「パウリスタ」というのは、「サンパウロ州の」という形容詞である。名詞として使う時は「サンパウロ州の人間」という意味になる。前述のようにサンパウロ州は広い。そのためサンパウロ市の人間は、他と区別するためにパウリスターノ(男性)、パウリスターナ(女性)と呼ばれる。

 ブラジルで使われているポルトガル語はラテン語の下流にあたり、名詞にも男性形、女性形がある。男性形の場合、最後が「o」、女性形は「a」と覚えておけばほとんど問題はない。

ジュニーニョ・ペルナンブッカーナの名の由来は?

 もう一つの大都市、リオ州出身者は「カリオカ」となる(ラモス瑠偉のあだ名である!)。こちらは男性形、女性形の区別はない。付け加えれば、南部のヒオ・グランジ・ド・スール州出身者は「ガウショ」である。

 ガウショには才能あるサッカー選手がいる。古くは黄金の中盤の一人、パウロ・ロベルト・ファルカン、元ブラジル代表監督のドゥンガ、そしてロナウジーニョ――。

 ロナウジーニョはかつて、ロナウドと区別するために、「ロナウジーニョ・ガウショ」と呼ばれていたことを記憶している人もいるだろう。つまりヒオ・グランジ・ド・スール州出身のロナウジーニョである。

 このロナウジーニョのように、同名の選手を出身地で区別することがある。サンパウロFCの一員としてトヨタカップに来日した、サンパウロ州出身の「ジュニーニョ・パウリスタ」、フランスのオリンピック・リヨンの黄金時代を築いた天才、ペルナンブッコ州出身の「ジュニーニョ・ペルナンブッカーナ」という具合だ。かつてガンバ大阪でプレーした右利きの「マルセリーニョ・カリオカ」はリオ州出身のマルセリーニョである。

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