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【松田浩の超分析】日本代表の守備はなぜ崩壊したのか? 失点を減らすためにセットプレーはゾーンで守るべし

text by 鈴木康浩

防げたグアルダードのクロス

――左利きですね。

「そういう情報は試合前にわかるわけじゃないですか。ましてやこの場面はもう後半だから絶対にわかっている。左利きのクロッサーに右足に持ち替えさせて、右足で上げさせるように対応するとか。そうすると中の選手もクロスのタイミングに合わせにくくなる。

 実際の場面は、中央で合わせたエルナンデスの入り込みに対して、中の選手たちもマークがしにくい部分もあるんです。だからこそ、クロッサーに対して酒井はこの立ち位置ではなくて、もっとおおげさに縦方向を切るべきでした」

――映像で見返すと、相手のクロッサーはいかにも酒井の体の右側を狙っていますね。

「この対応なら絶対にクロスを上げられる、そういう形を持っている選手なんでしょう。だからこそ酒井は、この場合ではあからさまに縦方向を切ってしまう。そういう対応でもいいという考え方もできるんです」

――酒井には完全に縦を切らせて、相手を内側へ行かせたときにボランチなどが対応する。

「それでもいい。そういう意味でこの場面では内側からもう一人寄せていないのも問題でしょうね」

 ここで映像を巻き戻して確認する。

「……これは岡崎(9)かな? 軽くジョグで寄せてきているでしょう? もっと素早くクロッサーに対して内側から寄せてあげれば酒井の対応も全然違ったものになったと思うんです。相手のクロッサーに左足で挙げさせないような対応ができたかもしれない」

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