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Jリーグ 11年前

多摩川クラシコで躍動した中村憲剛。FC東京の“川崎対策”はなぜかわされたのか?

text by いしかわ ごう photo by Asuka Kudo / Football Channel

改善すべき守備。リーグワースト2位の失点数

風間八宏
風間監督は、「サッカーにはアクシデントもあるので、1失点は起こりうる」という考えの指揮官だ【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 多摩川クラシコでは2006年以来となるドロー決着となった。試合後、両チームのサポーターから拍手が起きたように、死力を尽くしたゲーム内容であり、川崎フロンターレとしても中断明けに続いていた連敗を止めることができた結果自体は悪くない。しかし勝ち切れなかったという事実も、そろそろ手放しで喜べない状態だ。

 この試合では二度もリードしながらも、いずれも追いつかれた。なによりこれで4試合連続2失点中だ。リーグトップの得点数に隠れているが、失点数はリーグワースト2位である。得点王争いをしている大久保嘉人も改善の兆しが見えない守備陣に対して辛辣な意見を述べている。

「何度も崩されて失点するのでは仕方がないが、一発でやられている。これじゃあ、優勝を狙うとは言っていられない。今は2点取られても仕方ないみたいな感じになっている」

 もともと風間監督は、「サッカーにはアクシデントもあるので、1失点は起こりうる」という考えの指揮官だ。攻撃的なチームを構築している以上、その代償として1失点ならば許容範囲ということなのだろう。だが2失点ゲームが4試合連続で続いている状態はやはり正常ではないだろう。

 試合後の会見でも、「非常にもったいない2失点。そこのところは組織よりも個人的なところなので、戦術眼とテクニックをもっとつけなければならない」と珍しく個人の守備対応について言及した。

 その意味で、家族の事情でブラジルに帰国していたCBの大黒柱・ジェシがこのタイミングで再来日したのは明るい材料だ。すでに全体練習にも合流しており、近日中に先発に復帰する可能性は高いだろう。彼が最終ラインにいる頼もしさは替えられないものがある。改善に向けた特効薬として過度の期待は禁物だが、期待したい気持ちはある。

 多摩川クラシコであらためて浮き彫りになった守備陣の課題。チームとしてさらに一段階上のステージに行くためには、そこに真っ向から向かい合っていかなくてはいけない。

【了】

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