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アジア 10年前

なぜそこまで大きな騒動になってしまったのか。小野伸二、豪州での引退報道の真相

text by 植松久隆 photo by Taka Uemastu

地元メディアとの「摩擦」

 小野に関して、ここで触れておかなければいけない一つの出来事がある。小野は、地元マスコミとのちょっとした「摩擦」に巻き込まれたのである。そもそも「摩擦」という言葉が、先日起きた事の顛末を端的に表しているとは言い難い。

 というのも、小野自身はまったくこの事態を意図していなかったであろうし、なぜこれが一部メディアによって批判的に取り上げられたかも未だに解せないでいるのかもしれない。ともあれ、ここでは簡単に「摩擦」の経緯を振り返っておく。

 10月18日、複数の現地メディアは事前の告知に基づき小野の取材を行うために、シドニー西郊のWSWの練習場に赴いた。

 現地メディアに対応する直前に5分ほど日本メディアの取材を受けた小野だったが、待っていた現地メディアには、“We have done already, yeah I’m sorry ,thank you.(もう終わりましたよね、すいませんが。ありがとう。)”という短い言葉を残して立ち去り、待っていた現地メディアを驚かせた。その後、小野の行動に関して、WSWのメディア・マネージャーはメディアに謝罪をしたという。

 余程、それが面白くなかったのかサッカー専門誌「Four Four Two」は、その日の夜、過去にメディア対応のまずさでメディアと軋轢を持ったラグビー選手を引き合いに出して、その日の小野の対応を批判する記事をウェブに掲載。

 それにFOX Sportsなどのメディアも追随して、現地報道の焼き直しを流す一部の日本メディアの記事がアップされるに至って、事件は瞬く間に伝播していったのだ。

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