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アジア 10年前

なぜそこまで大きな騒動になってしまったのか。小野伸二、豪州での引退報道の真相

text by 植松久隆 photo by Taka Uemastu

きっかけはちょっとした齟齬

 長く、小野伸二と言う選手を知る人であれば、「彼ほどメディアにもファンにも、きちんと接する選手はいない」、そして「(そんな摩擦が生じるなんて)何かの誤解だろう」と、一様に同じことを思うのであろう。
 
 それでも、代表選手が待ち構える多くのメディアの前をノーコメントで素通りすることもある日本と違い、いかなる状況でも選手にメディア対応を当然として求める当地流に当てはめれば、「取材拒否」と取られかねない。この件は、一言で言えば、コミュニケーションのちょっとした齟齬、感覚、意識の違いが表面化したに過ぎない。

 もし、小野自身がそういう当地メディアにある暗黙のルールを知っていて、今回のように対応したのであれば、部外者があずかり知らない何らかの理由があっての行為なのであろう。とはいえ、この件について、まだ小野本人から何も聞けていない私が、彼の心中を忖度することはできない。

 しかし、誰もが予期しなかった今回の小野の行動が、結果的に現地メディアに不信感を与えたのも事実。さらには、小野自身にも現地メディアに対しての警戒感が芽生えている事実をも炙り出した。

 そんな伏線がある中で、冒頭の今回の「オーストラリアで引退か」との報道が流れた。小野にしてみれば、またしても「そんなこと言ってないけども…」という気持ちなのだろう。それがゆえに、上記のような久しぶりのツィッターの日本語更新での完全否定へと繋がってくるのである。

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