プレミアで実現した南ウェールズ・ダービー。なぜイングランドに“他国”のクラブが参戦しているのか?

プレミアリーグに参加しているのはイングランドのクラブだけではない。今季はスウォンジーとカーディフが所属。ダービーまで実現した。だが、この2チームはウェールズのクラブ。ウェールズにもリーグがあるはずなのに、なぜ“他国”のリーグに所属しているのだろうか。

2013年11月10日(Sun)9時41分配信

text by 山中忍 photo Kazhito Yamada / Kaz Photography
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厳戒態勢だったカーディフ対スウォンジー

 去る11月3日、プレミアリーグのローカル・ダービー史に新たな1ページが刻まれた。カーディフがホームでスウォンジーを下した(1-0)、南ウェールズ・ダービーだ。プレミアでは、「1年生」対「3年生」という新顔同士だが、100年以上の歴史を持つ対抗意識の激しさは、他のプレミア定番ダービーにも引けを取らない。

 事実、試合当日の警備は最高レベル。敵地に乗り込む2万人超のスウォンジー・サポーターは、クラブ手配のバスを利用しなければ会場入りが許されなかった。チケット受け渡しも、警察に先導された計47台のバス内でのみ行われ、到着後はホーム陣営との完全隔離体制が敷かれた。

 前回の対決は2部リーグ時代の2011年2月だが、厳重警戒の必要性は、その3カ月後にも論じられた。最終的にはスウォンジーがプレミア昇格を果たした、プレーオフ決勝で対戦する可能性があったのだ。

 カーディフの準決勝敗退でその必要性は消滅したが、当時はイングランドのトップリーグの1枠を、ウェールズの2強が争う事態の妥当性も論じられた。国内では、セルティックとレンジャーズという、スコットランドの両巨頭が望んだリーグ間の「亡命」を、プレミア20クラブの会長たちが満場一致で否決した出来事も記憶に新しい。

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プレミア3年目となるスウォンジー【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 イングランドから見たウェールズとスコットランドは、国際社会では英国内の母国勢だが、サッカーの世界では、共に独立した「外国勢」に当たる。

 だが、カーディフやスウォンジーのようなウェールズ勢は、母国リーグ脱出を計ったスコットランドの2クラブに対し、クラブ創立当初からイングランドのリーグに所属している点で根本的に違っている。

 ウェールズFA(協会)は、イングランドとスコットランドに次ぐ世界3番手の古株だが、全国規模のリーグ運営に着手したのは1992-93シーズンのこと。ウェールズ最古のレクサムを皮切りに、「地続きの隣国」の本格的なリーグに参戦するウェールズ勢が現れたのは、当然の成り行きだった。

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