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プレミアで実現した南ウェールズ・ダービー。なぜイングランドに“他国”のクラブが参戦しているのか?

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ウェーリッシュ・プレミアリーグの実態はセミプロ

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スウォンジーを率いるミカエル・ラウドルップ監督【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 現時点では、4部所属のニューポートと、ノンリーグ(セミプロ)所属のレクサムら3クラブを合わせた計6クラブが、イングランドのリーグを主戦場としている。この6クラブは、92年のウェーリッシュ・プレミアリーグ開始時に、ウェールズFAによる「帰国」の誘いを蹴っているのだが、これも無理のない判断だった。

 新設された母国の全国リーグは、「プレミア」と呼ばれても、実態はセミプロとの混合。サッカーのレベルとモチベーションの両面で、イングランドの方がはるかに魅力的だ。

 ウェールズFAは、2年前にも、一度は禁じたウェーリッシュ・カップへの出場を許可して、イングランド組6クラブを勧誘しようとした。王者に与えられる欧州(ヨーロッパリーグ)への切符を餌にした誘いだった。

 しかし、肝心のUEFAが、イングランド組にはイングランドのリーグとカップ選手権経由での出場権しか認めない決定を下しため、実質的な魅力は激減した。

 しかも、誘いを断ったカーディフとスウォンジーのうち、後者は昨季のリーグカップ優勝で、イングランドからヨーロッパリーグ出場を果たしてもいる。イングランドのFAは、カーディフがFAカップ決勝に進出した5年前の時点で、「準加盟」扱いのウェールズ勢にも、イングランド勢としての欧州参戦を認可していたのだ。

 この両軍に関しては、選手やクラブの懲戒処分などに関しても、ウェールズではなく、イングランドのFAが管轄するようになり、「異国リーグ所属」の違和感はないに等しい。

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