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アジア 10年前

リッピ監督のクレーム、「準優勝」表示への非難。ACL決勝、中韓での軋轢は本当にあったのか?

text by 呉承鎬

練習場は本当に提供されなかったのか

 それは、韓国で行われたファーストレグ前日の記者会見でのこと。リッピ監督は、「広州恒大には練習場が与えられなかった」と明かし、「照明、練習時間、ピッチ状態など、なんの問題もないと聞いていたのに、不公平な環境を提供された。こんなことは30年間の監督生活で初めて」と発言したのだった。

 要約すると、韓国入りした広州恒大が夜間練習のための使用をリクエストしたが、現地入り後に断られ、ホテル内での練習を余儀なくされたというわけだ。

 もし、リッピ監督の言葉が事実だとすれば、見過ごせる問題ではない。ことの真相はどうなっているのだろうか。

 Kリーグを主宰する韓国プロサッカー連盟は、「すでに2週間前に広州恒大が使う補助競技場についてAFCに関連資料を提出しており、規程にも反することではない」と明かしている。また、その内容を広州恒大にも伝えていたという。韓国側の主張は、事前に補助競技場の照明が暗いので、早めに練習することを相手側に伝えていたというわけだ。

 上記のリュ・チョン記者も言う。

「たしかにFCソウルの関係者は、事前に補助競技場の事情を広州恒大に伝えたと聞いています。クラブ側には伝わっていたが、リッピ監督に伝わっていなかったとも考えられますが…。いずれにせよ、FCソウルが何か危害を加えようとしたということは、絶対にありえません」

 リッピ監督の発言は韓国国内でも物議を醸し出し、中韓の非難合戦が起こったという見方もあった。しかし、現地では、特に大きな問題はなかったとリュ記者は話す。

「ごく一部の広州恒大のファンが、FCソウルの練習場に訪れ、野次を飛ばしたり、レーザーを当てたりしていましたが、そういったことはどのチームでもあること。選手たちもそれをわかっているし、険悪なムードになることはありませんでした。実際に試合後、FCソウルのハ・デソン選手と広州恒大のキム・ヨングォン選手は、互いの健闘を称えあっていましたよ」

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