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プロになるため欧州の大学へ留学、そしてリーグ優勝。金井拓也の選択したサッカー人生

text by 長束恭行 photo by Yasuyuki Nagatsuka

自国では強豪。厳しいポジション争い

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【写真:長束恭行】

 リトアニアは「第二の宗教」と呼ばれるほどバスケットボールの人気が高い国だが、二番手に追いやられたこの国のサッカースタイルを金井はこう考える。

「日本と比べたらサッカーも違うから何とも言えないんですけど、技術やボールコントロールは日本のほうが優れていると思います。ただ、やっぱり日本にはない、例えばフィジカルとか厳しさとかはあるかなと思いましたね。

『巧いと言っても何が巧いのか?』というのはあるじゃないですか。日本人だったらボール扱いやトラップが巧いと言われるけど、ヘディングで競り勝つのも、激しくスライディングでボールを奪うのも巧さ。だから日本と比べてもあまり答えようがないというか」

 ジャルギリスはクロアチアやロシア、ポーランドから外国人を引き連れ、リトアニア代表クラスも積極的に補強するクラブだ。ゼニト・サンクトペテルブルグ出身のロシア人MFパヴェル・コマロフや現役リトアニア代表MFマンタス・ククリスといった面々と金井はポジション争いを強いられた。

 夏にはヨーロッパリーグ予選が開幕。ジャルギリスは一回戦セント・パトリックス(アイルランド)、二回戦ピュニク(アルメニア)を倒し、三回戦はポーランドの強豪レフ・ポズナニ相手に大金星を収める。金井はそのアウェーの第二戦でヨーロッパデビューを果たした(88分から途中出場)。

「もっと緊張するかなと思ったんですけど、全然何も思いませんでした。ただ、交代ラインに立った時に同点に追いつかれたので焦りましたね。しかも入った途端にオウンゴール。もう一点相手に決められたら敗退でした。プレーオフで対戦したレッドブル・ザルツブルグはレベルが違いましたね。ヨーロッパリーグの経験を通して『上には上がいるな』と感じました」

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