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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。菅原智の挑戦。果てしなき王国の魅力・その2

現在、東京ヴェルディでコーチを務める菅原智。彼はブラジルでのプレー経験がある。所属したのはサントス。王国でプレーするとはどういうことなのか、地球の裏側で生活することとは? 本人にインタビューし、ブラジルの魅力を探った。

【その1】はこちらから

突然の出場チャンス

 1999年1月から菅原智はサントスFCに移籍していたが、就労ビザ取得に時間がかかっていた。試合出場に必要なビザが取得できたのは、サンパウロ州選手権の第二ステージ終盤となっていた。

 第二ステージは12チームを二つのグループに分け、それぞれ上位二チームが準決勝に進出。サントスはすでに準決勝進出がほぼ確実となっていた。

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サントスの本拠地、ビラ・ベルミーリョ【写真:田崎健太】※2005年撮影 現在は改装されている

 5月16日、サントスは本拠地のビラ・ベルミーリョでモジミリンと対戦した。昼12時から始まった試合は。暑さのせいか、緩んだ試合内容だった。

「スガ、用意したほうがいいぞ。こんなんじゃ出番が来るから」

 ベンチで隣に座っていたビクトル・アルスチザバルが冗談を飛ばした。アルスチザバルはメデジン出身のコロンビア人フォワードだった。コロンビア代表にも選ばれている。

「ない、ない」。菅原は笑顔で返した。

 すると前半終了間際、監督のレオンが菅原を呼んだ。「後半、頭から行くぞ。上げておけ」

 菅原は急いで更衣室に下がり、片隅で急いで身体を温めた。足元がふわふわしていた。地に足がつかないというのはこういう感じなのか。Jリーグには何試合も出ていたが、こうした感覚になったのは初めてだった。

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