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サッカーから差別がなくなる日は来るか。依然として少ない同性愛カミングアウト

人種差別と共にサッカー界からなくならない性的指向への差別。スウェーデンにある同性愛者など“セクシュアル・マイノリティ”のためのクラブを訪ね、問題の根源を探った。

text by 鈴木肇 photo by Hajime Suzuki

【欧州サッカー批評7】掲載

セクシュアル・マイノリティとは

サッカーから差別がなくなる日は来るか。依然として少ない同性愛カミングアウト
自身も同性愛者であるストックホルム・スナイパーズのニクラス・エーク氏【写真:Hajime Suzuki】

 昨年10月にスウェーデンを訪れた際、首都ストックホルムに拠点を置く、あるクラブの関係者と会うこととなった。クラブ名は「ストックホルム・スナイパーズ」。この名前を聞いたことがある読者はおそらく皆無であろう。だがスウェーデンでは「セクシュアル・マイノリティのためのクラブ」としてその知名度は決して低くない。

 チームは同国リーグのディビジョン8(10部リーグに相当)に所属。競技レベルでは注目されていないが、同性愛者などセクシュアル・マイノリティに門戸を開いているという点で知られており、スウェーデンサッカー協会の機関誌や全国紙『ダーゲンス・ニーヘーテル』『スヴェンスカ・ダーグブラーデット』などに取り上げられたことがある。

 今回お話を伺ったのは、クラブの創設者のひとりであり、自らも選手としてプレーするニクラス・エーク氏だ。自身も同性愛者である同氏のコメントを交えながら、サッカー界におけるセクシュアル・マイノリティ問題について論じることにする。

 なお、「セクシュアル・マイノリティ」とは日本語で「性的少数者」と訳され、文字通り、性的に少数派にあたるという意味。

 おもに同性愛者、両性愛者(恋愛対象や性的指向が男性でも女性でも構わない、または相手の性別をそれほど重要視しない人のこと)、トランスジェンダー(自分自身が男女どちらの性別に属しているかという性自認と、身体的特徴に基づいて男か女かを識別する生物学的性が一致しない人のこと)が含まれると考えられている。

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